Web拍手 バルフレア夢 〜ミニシリーズ7話〜

 

 

 

※未プレイシーンなので噂と妄想でお送りします。

 

 

 

無理矢理付いてきておいて、いっぱしの口を利くのはおかしいと思ってしまった。

だから―――

逃げなきゃいけない。でもこの要塞をなんとかしなきゃいけない。
そんな切迫した状態でバルフレアが残ると言った時、私は何も言えなかった。
状況を考えれば仕方のないことだと思った。
でも

お願いだから一緒に逃げて!

喉まで出掛かって、叫ばずに押し込んだ言葉。
ヴァンに引っ張られ私は走り出す。
バルフレアは少しだけ見送った後、踵を返し背中を見せる。

 

もう二度と会えないんじゃないか。
そんな不安が怒涛のように押し寄せてきて落ち着けなかった。

 

要塞から脱出して、少し離れた場所から要塞の動きを見守る。
少しずつ斜めへと傾き、それでも状況は難を逃れ良い方向へ転がった。

喜びの声が沸きあがったが―――

 

いつまで待ってもバルフレアは戻って来なかった。

 

「大丈夫」

操舵を強く握るヴァンが小さく呟いた。

 

あの状況でどうやって脱したのかは分からない。
針路変更に成功しても、それから後どうしたのか行方が分からない。

 

大丈夫、と言ったヴァンの言葉は虚しく空へと消えた。。。

 

あの時言えば良かった。
「行かないで」と泣けば良かった。
「一緒に逃げよう」と手を伸ばせば良かった。
あの時一瞬の迷いから、出かけた言葉を自ら飲み込んだ。

だから今更泣くことなんて出来ない。

 

そのことに悔やんでも――― もう遅い ―――

 

 

 

ターミナルにシュトラールを預け、ヴァンはバルフレアに頼まれた通り、常にシュトラールの整備をしていた。

シュトラール。
バルフレアの愛機。
“最速の空賊バルフレア”のシュトラール。

見るたびに思い出す。
出会ったばかりの頃を。
再会して助けシュトラールに連れられたことを。
このシュトラールの中でお互いの距離を縮めていった。

悩むと煙草を吸う癖。知っている。
怒ると部屋に閉じこもる癖。知っている。
笑うと普段より少し幼く見えるの。知っている。
酒が好きで、人に合ったカクテルを作るのが好きだということ。知っている。
本は机より、ベッドに転がって読むのが好きだということ。知っている。

出会ってから知ったバルフレアという男のこと。

沢山知った。知りすぎて逆に失うのが怖い。

 

 

 

だから・・・

「・・・ごめんね。もう、無理かも」

 

あの日から1週間も経たずして、私は逃げ出した。

 

主の帰りをジッと待ち続けるシュトラールを見るのが、耐えられなかった。

 

 

 

 

 8話へ

 


〜あとがき〜

 

10話までの短いシリーズものの7話です。
ここから先がED後の話にいきなり突入しています。
そしてまだEDを見ていない私。。。(笑)
バハムートへこれから行くぞ!というところであえてストップさせています。
連載トリップ夢の執筆関係であえて先を進めていないのです。
だから、他サイトのED作品を見たり読んだりしただけの知識で書いているので原作に沿っているとは思えません。
細かい所で間違ってるんだと思います(笑)
でもバルフレアが消息不明ということで絶対主人公は不安に駆られるハズ。

Ωでもバハムート突入以降のページは絶対見ないようにしているから☆