STEREO写真について
(Ⅰ)
左右の視差を応用
私達は物を見る場合、左目と右目で見え方が異なり、これを視差といいます。動物は左右の視差により立体的に物を見、距離を測っております。特に肉食動物の目は、獲物との距離、速度を測る為に顔面左右水平に配置されており、その両岸視野は約120°ありますが左右の視野は約8°づつしかありません。人間もこの中に入ります。一方草食動物は両岸視野は10°程度で、左右視野は170°程度あり、略360°見えており、敵から身を守るようになっております。平面的な画像を立体視するには、左右の目で見た2枚の画像を必要とします。2枚の画像を立体視するためにいろんな工夫がなされ、「STEREO写真・画像」、「3D写真・画像」と呼ばれております。
左右の視差のある写真
の撮影方法
1台のカメラで撮影するには小生の「撮影機材」で紹介したようなスライダー(右図)を使いますが、このような道具を使わなくとも、足を10cm程度広げ、カメラを左足の垂直上でシャッターを押し左画像を撮影し、そのまま右足に身体を水平移動して右画像を撮影します。ただ、この1台での撮影は動きのある被写体には不向きです。左右の間隔は【関谷隆司】氏のホームページに詳しく記載されておりますので、下のURLからご覧ください。
http://www.stereoeye.jp/index_j.html

極近距離(30cm~80cm)なら3~8cm位、通常の撮影の場合は7~12cm、被写体までの距離が遠い場合は数メートルの間隔を開けます。航空写真による立体写真は数キロメートルの間隔を開けます。TV映像で遺跡などを上空から右又は左から平行移動しながら撮影した映像が見られますが、ストップ撮影して2枚の画像を得られれば上空からの立体画像が楽しめます。
2台のカメラで撮影する方法は小生の「撮影機材」のようなスライダーに2台のカメラを取り付けた、左図の様な装置を使います。この場合動きのある被写体にも対応させるために、ケーブルスイッチやリモートスイッチを使います。
左右画像左右画像
左右画像での立体視の方法
左右2枚の画像で立体視する方法には(1)平行法 (2)交差法 (3)アナグリフ法 (4)偏光法 (5)インターリーブ法 等があります。
(1)平行法
左右の画像は横7cm程度の大きさが望ましい。これは人間の左右の目の間隔が約7cmであり、左右2枚の画像を見つめて、2枚の画像が頭の中で重なり、立体視を得るためです。従ってあまり大きな画像には適しません。小さな画像を大きく立体視するのに二つの虫眼鏡レンズを介して覗くフォトビュアーによる方法があり、「赤瀬川原平氏の著書”二つ目の哲学”」に添付されております。又下のURL出も紹介されております。
http://www.stereoeye.jp/shop/
(2)交差法
この方法は右目で左に配置した右画像を、左目で右に配置した左画像を見つめて立体視する方法で練習によっては新聞紙大の大きさの画像にも対応しますが、一寸練習が必要です。
(3)アナグリフ法
左の画像から赤色を取り去り、右の画像からシアン(青緑)を取り去った2ッの画像を重ね合わせた画像を、左が赤、右がシアン色のセロファン紙で見て立体視する方法で、私のホームページでも掲載しております。この方法は目が疲れることが少ない利点がありますが、伏見稲荷鳥居の様な赤色とか、青色の色の再現性がよくありません 
(4)偏光法
偏光フィルターを使って右目には右画像、左目には左画像の光が届くようにしたもので、3D-テレビや3D-映画に使われます。この方法は偏光メガネなどが比較的に安価な利点がありますが、映像が左右それぞれ半減するため画像が暗くなる点と映写幕に乱反射を起こさない特殊スクリーンが必要なことで、私がかって是に興味をもって研究していた頃にある同好誌に乱反射を起こさないスクリーンに魚の「太刀魚」の皮を用いたら良いと述べられており、スライド映写幕に何匹の「太刀魚」が必要なのかと悩んだことがありました。現在STEREO同好会などではプラモデル会社からプラスチック板を購入して使っておるようです。
(5)インターリーブ法
左右の映像を1秒間に100回以上の早さで交互に切り替え、切り替えの早さに同期した早さで右左のメガネのシャッターが交互に切り替える事により、右画像は右目に、左画像は左目に見ることが出来、明るい立体映像が得られます。この方法は(4)の偏光法の偏光メガネよりインターリーブメガネが高価である。

以上の(4)偏光法と(5)インターリーブは3D映画、3Dテレビに応用されておりますが、左右画像の撮影が必要であるため、ソフト提供が少なく、3D対応のテレビが必要なことで、もう一つ振るわなかった。(3)のアナグリフ法によるものは、DVDで「センター・オブ・ジ・アース3D」、「ゾンビ3D」等があるが使用する「赤青メガネ」が日本のものとは逆で「青赤メガネ」になっております。
以上(1)~(4)の3D画像を作成するアプリは「STEREOiei」又は「むちゃんのステレオワールド」からダウンロード出来ますので皆さんも3D画像を作成してお楽しみください。。
STEREOeye→ http://www.stereoeye.jp/software/index.html
むっちゃんのステレオワールド→ http://www.stereomaker.net/jpn/index.html

平行法
     2枚の画像を見つめてください。

  アナグリフ法
赤青メガネでご覧ください
(Ⅱ)一枚の画像で立体視
(Ⅰ)の(1)~(5)、(Ⅱ)の(1)~(2)はそれぞれのURLで紹介しました、開発者のアプリを使えば比較的簡単に撮影製作できますが、次の(Ⅱ)の(3)~(4)はやや製作は難しいと思います。



 
(1)
片方の目にサングラスを掛ける方法
光には波動説、粒子説などがあり波動説を利用したのが(Ⅰ)-(4)偏光法だと思います。光の速度は空気中で毎秒約30万kmと言われ、1秒間に地球を7周り半する速さとも言われております。光速をコントロールして?、立体視する方法で作成したDVDを私は所有しております。このDVDは「TRAIN’S TRIP1,2,3」で、【JR東日本・小海線の旅、 高山本線復旧区間を行く、 JR東日本】などで、延々と車窓からの風景が映し出され、右の車窓風景には右目に暗いサングラス、ひだりの車窓から見る場合は左目に暗いサングラスのメガネを懸けて風景を見ると、確かに!あたかも列車の車窓から見た3Dに見えます。右車窓風景は右、左車窓風景は左にサングラスを掛けることで視神経に入る光の遅れが生じ、あたかも左右の目に視差が生じ、立体視が出来る物と思います。この方法では運転席から見た風景もどちらかの目にサングラスを掛けることで立体視が出来ます。
(2)
ランダム・ドット・ステレオ
●               ● 


上の2ッの●をジーと見つて3っつに見えると、【♥】が浮き上がって見えてきます。

1844年デビッド・ブルースター卿が”壁紙現象”を発見、これは壁紙の反復する模様の中にある小さな差異が、立体的な深さを認識させるというもので、現在ではコンピューターで任意に作成できるようになり、読売新聞の金曜日の夕刊クイズなどに掲載されております。この方法は詳細な画像などには不向きで、簡単な模様や文字・凹凸表示に用いられます。下のURLから作成してみてください。

http://stereo.jpn.org/muttyan/rittai.htm
(3)レンチキュラーレンズによる立体画像 幅0.3mm~0.5mmの半円型のレンズを縦にして、その下に縦縞の間隔に等しい寸法で描かれた右、左視差の画像を置くと目の位置によって立体視出来るもので、絵葉書などに使われ、レンズの下の画像を2枚以上にして、立体アニメとして観賞されます。使用する画像は複数枚でありますが、1枚のレンズシートで立体視が出来ます。
                     
(4)凹面鏡による
   空間映像の表示
凹面鏡を使って空間に映像を浮かび上がらせる方法は、今は2003年に廃業した【甲子園阪神パーク】のイベント館にあり、約50cm角のボックスの横に「中のお人形を掴んでください。」と書かれており、ボックスの中を覗くと人形が立っておりました。手をボックスに突っ込んで人形を掴もうとしても手には何も触る物がなく、空間の中に人形が浮かび上がる不思議な物であったことが懐かしく思い出されます。この仕掛けは概ね下の図のようなもので、凹面鏡による空間虚像映像だったと思います。この装置について【江戸川乱歩】著『鏡地獄』でも述べられており、凹面鏡による不可思議な現象を「凹面鏡の恐怖」と述べております。


又お椀を二つ合わせた様な形をしており、上のお椀の底に空いた穴からお椀の中の物が空間に浮かび上がって見えるオモチャ?があります。これも凹面鏡を使った物で【ボルマトリクス】と呼ばれるもので、下のURLで紹介されております。

http://shop.koyo-opt.co.jp/i-shop/product.pasp?cm_id=35134&to=pr