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山高帽

ゴルコンダ
ゴルコンダ 1953 たくさんの男がいる。いろいろな男達だ。だが、これだけたくさんの男が同時に現れると、それぞれの個性を考えたりはしない。男達は同じ服装をしている。出来るだけ単純に、塊として見えるように。・・・ゴルコンダとはインドの古都であり、その富みで知られていた。いわば幻の都のようなものである。わたしにとって空を歩くことはまるで奇跡のようなものだ。一方、山高帽は不思議でもなんでもない。ごく普通の頭部を保護するものに他ならない。だから、山高帽の男達はごく普通の目立たない平均的な人間である。わたしもまたこの帽子をかぶっている。目立ちたいとは思わないからだ。 M
校長
1955 原題は『Schoolmaster』ですが、僕が調べた限りでは、邦題として『小学校教諭』、『教諭』、『学校長』など、さまざまに訳されているようです。これだけ邦題があるのは僕の知る限りでは一番です。当然同じ意味にとらえられる訳もあるのですが、マグリットが見ていたら苦笑していたことでしょう。 keeting
パンドラの箱
1956 真っ赤な空に包まれた空。無機質な町並み。そこへ向かう橋の上で、山高帽の男は何を思うのか。真っ白なバラが、唯一の希望にも見える。 keeting
人の子
1964 なんの変哲もない山高帽をかぶった男がいる。その男には別段変わったところはなく、むしろ特徴がなさすぎる。あえて特徴を挙げるのならば、リンゴで顔を隠されていることであるが、皮肉にも、そのリンゴによって唯一男を判別できる顔を隠されてしまっている。結局特徴はないのだ。 keeting