労働協約・労使協定・就業規則


労働協約

 労働組合法14条で、下記の要件を満たしたものを労働協約とすると定めています。

  形   式→書面に作成し、労使の代表者が署名又は記名押印します。
  有効期間→有効期間を定める場合は最長3年です。
  適   用→労働協約を締結した労働組合の組合員に適用されます。
          (非組合員にも適用される場合もあります)
  効   力→@就業規則は労働協約に反してはなりません。
         A労働協約に違反する労働契約の部分は無効とし、
          無効となった部分は労働協約の定めによります。
           (労働契約に定めがない部分も同様です)
  解   約→有効期間を定めない場合は、当事者の一方が解約しようとする日の
         90日以上前に文書で予告して解約できます。

 「協約」「覚書」「協定」「議事録」「確認書」など名称の如何に関わらず、形式要件が揃っていれば「労働協約」として、認められます。
 なお労働協約の効力は、第一優先順位とされていますので、効力の順位は、
  @法令>A労働協約>B就業規則>C労働契約
                            と、されています。
                                 【労組法16条労基法92条
 したがって、下位に定められた内容が上位に定められた内容に劣るような場合は、その劣る部分について(その部分についてのみ)改定が必要になります。



労使協定

 労使協定は、労働基準法上、「その事業場の過半数を代表する労働組合」、または「その事業場の労働者の過半数を代表する者」と書面により協定をしたものをいいます。

届出
必要
有効期間の
定め必要
届け出ない
と罰則あり
労使委員会の決議に
代えることができる
委託預金 × × ×
年次有給休暇の計画的付与 × × ×
年次有給休暇の賃金 × × ×
賃金全額払いの例外 × × × ×
一斉休憩の適用除外 × × ×
フレックスタイム制 × × ×
1箇月単位の変形労働時間制
1年単位の変形労働時間制
1週間単位の変形労働時間制 ×
専門業務型裁量労働制
事業場外のみなし労働時間 法定労働時間を超える場合に必要
時間外・休日労働 【36協定】


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労働協約と労使協定の違い

 労使協定は根拠を労働基準法としている(過半数労働組合のほかに労働者の過半数代表者とも結べる)のに対し、労働協約は根拠を労働組合法としている(使用者と労働組合のみしか結べない)点が大きく違います。
 行政解釈では「労働者の過半数を代表する者との協定は労働協約ではない」とされています。
 また労使協定の効果は、「労基法に違反しないという免罰効果を持つものである」とされており、さらに「労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものでなく労働協約、就業規則等の根拠が必要なものである」とされています。
 

個別協約と包括協

 労働協約には、賃金、労働時間、退職金など、個々の事項についてその都度締結する「個別協約」と、それらの事項を体系的に取りまとめて締結する「包括協約」があります。


労働協約の一般的拘束力

 一つの工場・事業場に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数の労働者が同じ労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用される他の同種の労働者に関しても、当該労働協約が適用されます。
 ただし、その工場・事業場に複数の労働組合が存在しているときには、たとえA組合の労働協約の適用を受ける労働者の数が4分の3を超えたとしても、他の組合の組合員に対してはその労働協約は適用されません。(労組法17条


労働協約の地域的の一般拘束力

 一つの地域において従事する同種の労働者の大部分が一つの労働協約の適用を受けるに至ったときは、申し立てに基づき、労働委員会の決定により当該地域において従事する他の同種の労働者及び使用者にも拡張適用される場合がありますが、例は少なくなっています。(労組法18条

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唯一交渉団体約款

 労働協約の中で、「会社はこの労働組合を会社内における唯一の交渉団体と認め、この労働組合以外のいかなる団体とも団体交渉を行わない」と規定することを「唯一交渉団体約款」または「唯一交渉団体条項」といいます。
 このような約款の締結は、以下の目的であるといえます。
 使用者側の都合】上部団体や他の労働組合との団体交渉を避けるため
 【労働組合側の都合】第二組合ができないようにけん制し会社における独占的な地位を占めるため

 しかし、このような約款は、会社と団体交渉できる労働組合が事実上1つしか存在しない場合は、使用者と労働組合との間の現状を確認する程度の意味はもちますが、第二組合が存在する場合は、第二組合の団体交渉権を否定することになりますので無効であるとされています。
 しかも、労働組合法第7条第2号により、正当な理由があれば、使用者は団体交渉を拒むことができますが、正当な理由とされる前提の約款自体が無効となりますので、唯一交渉団体約款があっても団体交渉拒否は成立しません。
 

労働協約の有効期間

 労働協約の有効期間は、労使の話し合いによって自由に決められるものですが、期間を設定する場合には、3年を超える期間を定めることはできません(労組法15条1項)。
3年を超える有効期間を定めても、その労働協約の有効期間は3年としか認められません。
有効期間を定めた場合には、期間満了をもって労働協約は終了します。

 有効期間を設定しない場合には、このような制限はありません。
労使のいずれかが労働協約を破棄したいと思えば、、「労使両当事者のどちらか一方が署名するか記名押印した文書で、少なくとも90日前に予告する」ことによって解約することができます(労組法15条3項、4項
ただし、解約権濫用の行使に当たらないことが当然に求められますので、無制限に解約できるというものではありません。
また、解約権を行使する前に、労使関係安定の見地から労使交渉による合意形成のための努力をすることが必要です。

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就業規則

 就業規則とは、労働組合が存在しない企業では、労働関係の内容を定めるための唯一の準則といえます。
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、所轄の労働基準監督署長に届け出ることが義務化されています。(労基法89条

 ○事業所単位で作成し、届け出る。
 ○変更した場合でも届出が必要。
 ○パートなどについて別個に就業規則を作成することが出来るが、届出の義務はある。
 ○常に閲覧できるようにしておかなければならない。(パソコンなどを使用しても良い)

就業規則作成・変更の労働者の意見聴取義務

 
使用者は、就業規則の作成又は変更について、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならず、届出の際、労働者のの意見を記した書面を添付しなければなりません。労基法90条

 ○文字通り意見を聞くだけでよい。(同意を得るとか、協議をするとかは必要がない)
 ○正社員の過半数労働組合があれば、パートの就業規則なども、正社員の労働組合の意見を聞けばよい。
 ○過半数代表を選出するのは、管理職・パートなども含む全労働者。


就業規則の効力

 法令・労働協約には反してはならず、また就業規則に定める基準に達しない労働条件は無効となり、無効となった部分は就業規則の定めによる基準となります。(労基法92・93条






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