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労使紛争に関する判例 労働者

エスエムシー事件◇最高裁判平 9・11・27
 
-事件概要-
 
会社が、@管理職等の言動を通じて、組合結成を非難し、組合加入を抑止し、組合からの脱退の推奨をしたこと、A組合員N、O両名に始末書又は損失報告書の提出を命じたこと、B組合員A、H両名を給与電算処理などの「機密事項」業務から外し、さらにAに対して配転を命じたこと、C組合員の電話受信を妨害したことが争われた事件である。
 東京地労委は、上記@、B、C及びDに関して、このような方法により組合の組織運営に支配介入してはならないこと及び文書掲示を命じ、<2>についての申立て等その余の申立てについては棄却した。
 会社は、これを不服として、行政訴訟を提起していたものであるが、東京地裁が請求を棄却し、東京高裁も控訴を棄却したため、上告したところ、最高裁はこれを棄却した。 
 
-判決要旨-
混合組合
 労働者が自主的に組織した労働組合であることが明らかである関東労組が個人加入と団体加入のいずれも認める混合組合であるからといって、格別の弊害があるとも考えられないことから、同組合は労働組合法2条本文にいう「団体又はその連合団体」にあたると解すべきである。

○単一組織の支部・分会等
 参加人支部の組合員らは、関東労組の支部規約準則を自らの規約として承認・制定したものということができ、支部規約上、労働協約の締結には、関東労組の指示を受けることが必要であるとされていることから、上部組織である関東労組の役員が関与したからといって参加人支部に独立性がないということはできない

○個別的示唆・説得・非難等  ○反組合的言動
 S部長の発言は、従業員に対し、虚言に惑わされないようにと注意するにとどまらず、会社が組合を歓迎していないし、組合は不要であり、組合加入者に再考を促す旨の発言であり、組合の結成を非難し、従業員の組合加入を抑止する内容の発言として組合の組織運営に対する支配介入に該当する。

○組合員調査  ○反組合的言動
 T係長の発言は、上司の指示による組合加入状況調査を貫徹しようとして、会社の意を体してなされたもので、組合を否認し、組合員であることを理由とする不利益取扱いを示唆する威嚇的な発言であり、組合の組織運営に対する支配介入に該当する。

○職制上の地位にある者の言動  ○反組合的言動
 会社課長らの発言は、M取締役の指示に基づいて、各管理職が朝礼等において、管理職の立場から従業員に対し、会社が組合支部と交渉をしない旨告げるものであり、組合を否認し少なくとも軽視し、交渉相手として認めないとする会社の方針を従業員に告知し、従業員の組合加入を抑止しようとする意図のもとになされた一連の発言であると認められ、組合の組織運営に対する支配介入に該当する。

○法2条但書との関係
 労組法2条1号所定の「使用者の利益を代表する者」に該当するか否かは、個々の担当職務等によって、その者の加入によって労働組合の自主性が損なわれるかどうかを基準として個別に検討する必要があるところ、F、Aの当時の担当職務は、直接人事権を有しないことはもとより、職務として会社の労働関係の計画・方針に関する機密事項に接する立場にもないから、同所定の者に該当しない。

○威嚇・暴力行為
 組合員Mに対する電話受信・取次業務の担当替えの措置は、Mが組合員であるという理由で、もっぱら組合用務の私用電話を禁ずるためにしたもので、従業員が私用電話を取り次ぐことを禁止する趣旨ではないから、組合員であることを理由とする嫌がらせというほかなく、組合の組織運営に対する支配介入である。

○宣伝活動  ○組合活動への制約
 原告管理職による本件アンケート調査紙の回収は、同紙の配布が正当な組合活動であることから、正当な組合活動を妨害する行為であって、組合の組織運営に対する支配介入である。

○その他
 ポストノーティスは、憲法21条の自由をなんら侵害するものでないから、各行為が不当労働行為と認定したこと及び今後このような行為を繰り返さないように留意することを記載した文書の掲示は、同種行為の再発を妨止するための相当な措置であると認められ、労働委員会に委ねられた裁量の範囲内にあるというべきである。

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セメダイン事件◇東京地裁判平11・ 6・ 9

-事件概要-
 管理職組合として結成されたCSUフォーラムが申し入れた担当職の資格手当減額措置の廃止等に関する団体交渉に対して、会社は、「申立人組合は使用者の利益を代表する者の参加を許しており労働組合法上の労働組合ではない」などを理由としてこれに応じなかったことが不当労働行為であるとして争われた事件である。
 東京地労委は会社に対し、組合が申し入れた団体交渉について、CSUフォーラムが情報システムグループの課長等の特定の職位に所属組合員がいない旨の文書を呈示した後は、これに応じなければならないと命じたところ、これを不服として、会社から再審査の申立てがなされ、中労委は、初審命令を一部変更したほかは、その余の再審査申立てを棄却した。これを不服として会社は、東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、6月9日、原告の請求を棄却するとの判決を言い渡した。

-判決要旨-
その他手続
 労委の行う資格審査は「国家に対し負う責務にほかならず、申立資格を欠く組合の救済申立を拒否することが、使用者の法的利益の保障の見地から要求される意味において、使用者に対する関係において負う義務ではない」(日通会津若松支店事件、最高裁昭和32・12・24判決)から、CSUフォーラムの救済申立資格の不備を問題とする会社主張は、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由に本件命令の取消しを求めるもの(行訴法一〇条一項)であるから、失当であり採用できない。

○その他
 利益代表者の参加を許す労働組合も労組法七条二号の「労働者の代表者」に含まれるから、仮にCSUフォーラムに利益代表者が参加していても、また、参加していないことを会社に明らかにしていなくても、そのこと自体は当然に団交拒否の正当理由とはならないが、組合員Kらは利益代表者に該当せず、その他のCSUフォーラムに利益代表者が参加していることは認められない

○交渉団体として不適格
 (1)乃至(2)から、会社の団交拒否は正当理由を欠き、労組法七条二号の不当労働行為を構成するから、本件命令に違法はなく、取消を求める会社の請求は理由がない。
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東洋鋼板事件◇ 中労委命令昭53・11・15

-事件概要-
 
いわゆる駆けこみ訴えによる団交が争われた事件で、団交拒否の禁止、陳謝文の手交及び掲示を命じた初審命令を、会社が団交申入れの時期が著しく遅れていることを理由にこれを拒否することには正当な理由があるとして取消した。 

-判定要旨-
○唯一交渉団体条項
 一般にユニオン・ショップ協定は労働者が当該協定当事者の労働組合の組合員であることを要求するもので、その組合員が他の組合の組合員であることを排除するものでなく、ユ・シ協定を締結している別組合のみが唯一交渉団体で、当該組合は「雇用する労働者の代表者」の「代表者」には当らないとする会社主張は採用できない。

○人事事項
 被解雇者の解雇あるいは退職条件等に関連する事項が団交事項の場合には、当該被解雇者は労組法7条2号の「雇用する労働者」に含まれると解すべきであって、民法上の「雇傭」を前提とする会社主張は採用できない。

○人事事項
 一般的には、被解雇者が解雇された後組合に加入し、その助力を求めた場合には、その組合は、解雇問題につき社会通念上合理的期間内に申込まれた団交における労働者の代表者であると認められるが、本件被解雇者の組合加入が解雇後2年を経ており、同人の組合加入後も組合は約6年間は団交を申入れをすることなく、団交によって解決をはかろうと考えていとものとは解されず、またいわゆる駆けこみ訴えによる団交申入れとしても相当性を欠くもので、団交申入れの時期が著しく遅れていることを理由に拒否したことが不当労働行為にはあたらないとされた例。

○他の係争事件の存在
 解雇問題が裁判で係争中であることを理由に、同問題に関する団交申入れを拒否できないとされた例。

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中部日本放送事件◇ 最高裁判昭51・ 5・ 6

-事件概要-
 管弦楽団員をもって結成された組合からの団交申入れを拒否した事件で、地労委は労使関係を否認し請求を棄却したが地裁はこれを取消し会社からの控訴を高裁は棄却し、さらに上告において最高裁も、これを支持し棄却した。 

-判決要旨-
○出演契約
○雇用主でないことを理由

 楽団員の自由出演契約の報酬が労務提供の対価であることなどからすると、楽団員は会社との関係で労組法の適用を受ける労働者であり、楽団員と会社との間に労組法7条の不当労働行為が成立する。

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ナトコペイント事件◇最高裁判昭63・7・15

-事件概要-
 会社が組合員8名に対して行った配置転換命令、配属命令、及びこれの拒否を理由とする論旨解雇処分をめぐって争われた事件である。愛知地労委 (昭和57不 3、61.2.8決定) が、8名のうち6名について原職復帰、バック・ペイ等を命じたところ、会社はこれを不服として行訴を提起していたが、地裁は、会社の請求を棄却した。 

-判決要旨-
 労組法2条但書1号の機密は人事労務関係における機密事項に限られるから、会社の係長は職務内容や権限から機密事項に触れる立場になく使用者の利益を代表する者に該当せず、同人らの参加する組合に申立人資格を認めた命令に瑕疵はない。

○転勤・配転  ○業務命令違反  ○労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
 組合員6名の配転及び配転拒否を理由とする解雇は、同人らの組合加入及び組合活動を嫌悪し、組合の弱体化を企図して行った不利益取扱いであり、かつ、組合に対する支配介入の不当労働行為である。

○バックペイの支払い方法
 組合員Sが本件解雇後、喫茶店を経営していることをもって原職復帰の意思を放棄したものとは認められず、また、それによって得た収入金額は、必ずしも解雇期間中の支払額から控除しなければならない収入とも認められない。

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