烏賊と電脳のホームページ
烏賊の加工と調理 |
利用(食品外利用)に關する索引
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バイオコンピュータのモデル
説明 烏賊は動物の中で最も太い神經を有して居る。直徑は0.5乃至1粍位、長さは4乃至8糎有り、肉眼でも觀える
程で有る。此の様な烏賊の巨大神經の刺激傳達速度は毎秒35米と謂うから、魚の毎秒60米に迫って居る。
此の様な烏賊の神經をモデルに使用して、ニューロコンピュータの開發に取り組んで居る電子技術綜合研究所では、先ず神經科學
研究のモデルに使用する烏賊の飼育から始め、烏賊が後向きに泳ぎ進んでも壁に當たら無い水槽と仕てドーナツ型の水路を開發し
て飼育した。烏賊に限らず魚を飼う技術と謂うのは、大抵水産養殖畑から開發されるのが通例なのに、烏賊の長期飼育を物理畑の
科學者が苦心したと謂うのも何か面白い。
烏賊の養殖
説明 烏賊は、蛸も同様で有るが、一生を通じて肉食攻撃性の動物なので、養殖は生餌の問題、共食いの問題、運動力の
問題等が障害と成り、未だに養殖業は成立して居ない。水族館でも烏賊を飼育して展示して居るが、死ねば新たな烏賊を補給し、
無ければ無いで濟まして居る。
最近は、生餌でも死餌でも、或る程度烏賊を長期飼育出來る事は判明したが、高い經費と人手が懸かる。濱地や帆立貝の様に、高
級烏賊を安く食べられる様な經濟的に引き合う様な烏賊の養殖は、今でも可成り難しいと思われる。
併し、烏賊の神經をコンピュータ科學に、或いは、神經醫學用に用いる爲、經費を度外視した研究が行われて居る。テキサス大學
の海洋醫動物學研究所でも、常時烏賊の神經が入手出來る様に、烏賊の飼育が熱心に行われ、其處では、ドーナツ型では無く、陸
上竸技のトラック型の長さ9.1米、幅1.8米、深さ67糎の『レースウェイ』と呼ばれる大水槽で烏賊を飼育して居る。此の
研究所では、大水槽を用いて、カリフォルニアヤリイカを累代飼育する事に成功し、色々な実驗から、烏賊の生理や行動、病気、
藥理等に關する膨大な情報を得る事が出來たが、其れでも餌の問題は解決せず、毎日の様にメキシコ灣に擴がる海水の沼澤地(マ
ーシュ)に出掛けて、アミや小魚を捕獲して與えて居る。其の爲、卵から神經醫學実驗に使用出來る迄に成長させると、1尾當た
り200弗以上の經費を要すると謂う。此れでは、烏賊を長期飼育する技術を確立したと雖も、養殖業には何等福音と成らず、矢
張り食用、非食用を問わず、海に棲息する烏賊を充てにする以外無いのが現状で有る。
カラマリーフレンド
説明 海からの蛋白質と仕ては、鯨肉が供給され無く成った現在、魚の次は烏賊と謂う事に成る。勿論、海老、蟹、貝類
も有るが、資源の大きさ、大量捕獲が容易と謂う點では、烏賊に太刀打ち出來ない。
國聯食糧農業機構(FAO)等も、烏賊の重要性を早くから強調して居たので、從來烏賊を食用と仕無かった國々も開發に關心を
持つ様に成った。アメリカでもカリフォルニア州はカリフォルニアヤリイカの産地で、昔から東洋系の人が居た所爲も有り、細々
乍ら烏賊漁が行われて居て、通常の年で千屯以下、大豐漁の年で五千屯程漁獲して居た。處が、戰後、アメリカは戰爭で荒廃した
日本を初め東洋の國々に食糧を送る必要に迫られ、大規模漁法を工夫した結果、1946年には二萬屯に達する大漁獲が有った。
食糧事情が安定して、其れ程の援助用の烏賊を必要と仕無く成った後、今度は、烏賊は美味しいダイエット食品と宣傳する處が現
れた。料理講習會位では生温いと考えたのか、其處はアメリカらしく、生烏賊製のスカートから、果ては生烏賊製のビキニを着用
した美人モデルを『カラマリーフレンド(烏賊の友)』と仕て登場させた。奇抜な發想に驚いたが、モデル達の厭そうな顏を觀る
と、此れは『遣り過ぎ』だった様で有る。其れでも、アメリカ人で烏賊に關心を持つ人は多く、『君の未來に烏賊は在るか』等と
謂う表題の論文も出て居る。