姿燒き
原料 大きさの揃ったスルメイカを使用する。
調理 新鮮なスルメイカ(ニュージーランドスルメイカ、カナダマツイカ、アルゼンチンマツイカを含む)の外套部の腹部中央を縦に
一直線に切り開き、内蔵・軟甲を除去する。頭脚肉は眼球・嘴(くちばし)を除去して、胴肉(外套膜)から取り外し、長脚(触腕)の先端を
短脚に合わせて切斷する。此れは壓燒や包装の時に長脚が食み出すのを防ぐ爲で有る。
猶、内蔵を壺抜し、軟甲・眼球・嘴等を除去し、剥皮・煮熟した後、胴肉を切開する方法も有る。孰れの場合も、調理が終了すれば、殘滓の
殘ら無い様に良く洗浄する。
剥皮 剥皮は摂氏50乃至55度の温湯中で攪拌・剥皮する方法が一般に用いられる。胴肉と頭脚肉とでは剥皮に要する時間が
異なる爲、別個に行う方が良い。胴肉の剥皮に時間が懸かり過ぎると、鰭(ひれ)の周縁がギザギザに成り外觀を損なう爲、皮が多少殘存して
居る程度で止め洗浄中に良く除去する様にする。亦、頭脚肉では眼球の間の部分が剥皮され難いが、此れも洗浄中に除去する様にする。
煮熟 剥皮が終了すれば、洗浄した後、摂氏80乃至90度の熱湯中で輕く煮熟する。過度に煮熟すると肉が丸く成り壓燒時に
周縁部に割れ目が出來る事が有る。
調味 煮熟が終了すれば、冷却した後、調味する。剥皮後に調味する方法も有るが、此の方法だと肉厚が薄く成る。調味料は、
消費者の嗜好に合わせて様々に配合されて居るが、下記に其の例を示す。
核酸系調味料:WP、リボタイド、人工甘味料:リコマイシ、シュガロン
調味料 | 配合例(單位:瓦) |
砂糖 | 7.2 | 10-20 | 7 | 7 |
食塩 | 2.3 | 3-5 | 5 | 5 |
グルタミン酸ソーダ | - | 0.3-0.5 | 0.3 | 0.3 |
琥珀酸ソーダ | - | - | 0.1 | - |
核酸系調味料 | 0.27 | 0.05 | - | - |
人工甘味料 | 0.36 | - | 0.2 | 0.2 |
グリシン | 0.1 | - | - | - |
固形スープの素 | - | 0.5 | - | - |
燐酸塩 | - | - | 0.3 | - |
各調味料を均一に混合した者を烏賊肉に良く塗(まぶ)し、一枚宛丁寧に形を整え乍ら漬け込む。此處で形を整えて置か無いと、燒く時に
變形して良い製品に成ら無い。頭脚肉も同様に仕て別容器に漬け込む。漬け込み時間は概ね一夜位で、調味料の均等な擴散を圖る爲、
途中2乃至3回の手返しを行う。此の手返しの際にも、矢張り形を崩さ無い様に注意しなければ成ら無い。
乾燥 調味の終了した物を取り出し、乾燥機を用いて摂氏60度で20分位乾燥して水分40%程度にする。乾燥程度が少ないと
壓燒に時間が懸かり、乾燥が過度に成ると硬く成り歩留が惡い製品が出來る。
壓燒 壓燒には電気、瓦斯(ガス)等が用いられるが、孰れにせよ均一な燒き上がりに成る事が望ましい。壓燒板の面に油を塗り、
乾燥した調味烏賊を形を整えて置き、油を塗った板を重ねて輕壓を加え壓燒する。燒き上がりは肉面が狐色に成る程度とする。胴肉と
頭脚肉は別々に壓燒する場合と、両者を揃えて燒く場合とが有る。
包装 胴肉と頭脚肉を組み合わせて鯣(するめ)の形に仕て真空包装する。真空包装した物は、摂氏95度で20分程加熱殺菌した
後、冷却して製了する。
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燒きゲソ
解説 元來の燒きゲソは、鯣(するめ)の脚(本來は腕)を燒き、蜂蜜、水飴等で味附けし、時には此れを赤く着色した物で有るが、
最近は殆ど生産されて居ない。現在では、生サキイカや烏賊燻(いかくん)等を生産する時に副産物として出る鰭(ひれ)や頭脚肉は、塩辛に
用いられる他は、常法に依る剥皮・調味乾燥・焙燒・伸展等の方法を經て調味乾製品として加工される事が多い。調味には、主に胴肉を
調味した時に出る調味殘液を利用する。
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