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烏賊の加工と調理

裂烏賊(サキイカ)に關する索引

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  1. 裂烏賊(さきいか)
    1. サキイカ
    2. 生サキイカ:剥皮製品皮附製品


サキイカ

原料 原料としては良質なスルメを用いる事が望ましい。下級品を原料とした製品は、此の製品の特徴で有る毛羽立ちが良く無い 許りで無く、色調・香味も劣る。サキイカとして利用されるのは胴肉(外套膜)丈で、頭脚肉・鰭(ひれ)・表皮等は他の用途に用いる。

剥皮 頭脚肉を除いた胴肉から鰭と表皮を除去する。此の操作は手に依る場合と機械に依る場合とが有る。手で剥皮するには、 先ず先端部から鰭を前方に引いて中央部の表皮と一緒に胴肉から引き剥がす。次いで其の左右両側の皮を同じ様に引いて除去する。

調味 剥皮したスルメは、第一次調味に廻される。調味料としては、下記に示した様に、砂糖、甘味料、グルタミン酸ソーダが主体で、 其の他數種の調味料、香辛料等が用いられる事も有る。
甘味料:砂糖の30倍甘味の物、香辛料:ナンバン粉、核酸系調味料:イノシン酸+グアニル酸
區分調味料配合例(單位:瓦)
第一次調味1000100010001000
砂糖-720100-200200
甘味料7---
食塩5030020-5065
グルタミン酸ソーダ5451-515
コハク酸ソーダ-18--
香辛料5--若干
第二次調味砂糖12-10-1515.0
食塩4-2-53.75
グルタミン酸ソーダ0.5-0.1-0.51.0
核酸系調味料---0.04
アミノ酸系調味料---0.2
香辛料適量-0.01-0.1-
調味方法は色々な手法が用いられるが、代表的な者を下記に四種記して置く。
1.調味液中に適当時間(通常6乃至12時間)漬け、水切り後、適度に再乾燥する。
2.調味液中に2乃至3分漬けた後、取り出して2時間放置する操作を4回繰り返す。
3.煮沸した調味液中に籠立て仕たスルメを入れて再沸騰させ、2分後に引き上げる。
4.摂氏40度に加熱した調味液に30乃至40分浸漬して味附けする。
上記の方法の内、1と2は味の均一化、調味料の効果的使用と謂う利點が有るが、時間が長く懸かり、3と4は液温が下がら無い様に液量を 多くする必要が有る。亦、調味の平均化の爲、調味料の補充や汚れに依る液の交換等に問題が有る。
スルメを調味液に浸した場合、何の程度水分を吸収するかはスルメ自体に依り異なるが、1時間の浸漬で最初の重量に對し1.4倍(水分推定 含有量40乃至45%)、4時間で1.8倍(水分推定含有量54乃至57%)位に成ると考えられるので、調味方法に依っては再乾燥して水分の 調節を計る必要が有る。

焙燒 焙燒の目的は、伸展を良くする事、スルメ特有の臭気を除去し香味を附與する事等が擧げられる。焙燒には電熱焙燒機、瓦斯 (ガス)焙燒機、赤外線焙燒機等が用いられる。加熱温度、加熱時間は肉の水分含有量に依り異なるが、火膨れや焦げ目が餘り附か無い 程度で独特の香気を發生する位が良いとされて居る。

伸展 焙燒した物は、スルメ肉の中心温度が摂氏55乃至60度に在る内に伸展機の二本のロールの間に通して1.3乃至1.4倍 位の長さ迄伸展する。此の伸展は、次の引き裂きを用意にし、毛羽立ちを良くすると共に柔らかさを持たせる上で大切で有る。猶、二本の ロールの回転速度が異なる伸展機を用いると、裂き易く毛羽立ちも良いと謂われて居る。

烈斷 肉温が未だ温かい内に、裂き機に懸けるか人手に依り適当な幅に引き裂く。機械裂きの場合、裂きの不充分な物は人手で 均一に裂く。

仕上 裂き終わった物は、第二次調味を行う。調味料の配合は、第一次調味とも關係するが、消費者の嗜好に應じて行う。裂き後の 水分が少ない時は、水溶液を噴霧して調味する事も有るが、一般には調味料・香辛料を固形の儘混合して調味する。一定時間後此れを赤外線 乾燥機等に懸けて調味料の浸透と水分調節を行う。冷却後、包装して出荷する。
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生サキイカ(剥皮製品)

原料 原料としてスルメイカ、アカイカが主に用いられる。

調理 スルメ製造と同じ様に截劃し、内蔵を除いた後、頭脚部・鰭(ひれ)を取り除く。壺抜(つぼぬき)し鰭を除く方が後の剥皮や 裂きの工程で肉の損傷が少ないと謂われて居るが、此の場合は剥皮・煮熟後に軟甲の附着して居る部分に包丁を當てて截劃する。

剥皮 調理が終了すると、通常温湯中で5乃至6分間攪拌して剥皮する。此の場合、液温は摂氏50乃至55度に保持するのが良く、 此れ以上の高温では煮熟が進んで皮が肉に附着凝固して離れ難く成り、肉も赤味を帶び、亦、摂氏50度以下の低温では剥皮に時間が 懸かり歩留も低下する。機械に依り生剥皮する事も有る。剥皮方法としては此の他に、酢酸ソーダを用いる方法、乳酸を用いる方法、 重曹と亜硫酸ソーダを用いる方法、苛性ソーダを用いる方法、蛋白質分解酵素を用いる方法等が有るが、此等の方法でも加熱した方が早く 良く剥皮される事が多い。

煮熟 剥皮した物は輕く水洗い仕た後煮熟する。剥皮した儘室温に放置すると肉が分解し歩留が惡く成るから注意しなければなら 無い。煮熟温度と時間、然して次の焙燒温度と時間が、原料の種類と相俟って製品の柔らかさや毛羽立ちに係わり合いを持つ。
魚体の大小にも依るが、煮熟は摂氏70度で1乃至2分行うのが適度の様で有る。煮熟が過ぎると、肉の脱水は進むが、調味料の浸透が良く 無い。亦、摂氏60度の煮熟では裂きが惡く、摂氏80度、1分の煮熟では裂きも毛羽立ちも良いが、柔らかさが失われる事が認められて居る。 生で剥皮した物は、摂氏70度で3乃至5分加熱する様に仕無いと良い物が得られ無い。煮熟後は冷水中に投入して冷却した後水切りする。 空気中で放冷すると、表面が黄色味を帶び易い。

調味 煮熟し水切りした烏賊は、第一次調味を行う。調味料は、砂糖、甘味料、食塩、グルタミン酸ソーダを主体とし、其の他にも 各種の物が使用されて居る。調味料の配合は、第一次調味丈で終わる場合と第二次以上の調味を行う場合に依り異なり、業者に依っても 一様では無いが、下記に其の例を示す。

甘味料:グリチミン、トーメロン、砂糖の30倍甘味、燐酸塩:ウルトラポリス、有機酸:サンスゲン
調味料配合例(單位:煮熟肉1000瓦當たりの瓦數)
砂糖601204070
甘味料131.52
食塩32352550
グルタミン酸ソーダ4.54033
リポタイド--0.5-
琥珀酸ソーダ1.2211
ソルビット1000cc(液体)330-
アラニン1.2-2-
グリシン-3--
燐酸塩12--
有機酸123-
其他--1適量
調味料を良く混合して水切りした肉に加え、攪拌機等で充分混合した後容器に移し、2乃至3時間から一夜漬け込み調味する。此の際、途中で 手返しを行い、調味の均一化を圖る。最近は大量生産に適する様に混合・漬け込み・手返しを機械的に行う装置を使用して居る工場も有る。
乾燥 調味が終了すれば、乾燥機を使用して水分40%以下に成る迄乾燥する。此の様に剥皮・煮熟・乾燥した物を『達磨(だるま)』と 呼ぶ。消費地の加工業者は、一般に達磨の状態で原料を購入し、冷凍貯蔵して水分の均一化を圖った後、需要に應じて次の工程に移る事が 多い。

焙燒 焙燒(壓燒)は、自動壓燒機(ロースター)や電化燒機(姿燒機)を用いて摂氏105乃至115度位の温度で行われる。猶、焙燒 温度の高い方が毛羽立ちが良い様で有るが、得られた製品の褐變度が強く、裂き・毛羽立ちと褐變度とは逆相関關係に有る。此の際、肉温が 或る温度以上に高く保たれて居ないと良い裂き状態が得られ無い。從って、達磨の水分を把握し、焙燒以後の工程を聨續的に行う事が大切で、 特に、肉厚の薄い物にとって聨續操作は重要で有る。

伸展 焙燒が終了すれば、肉温が暖かい内に、伸展機に懸けて、1.3乃至1.5倍に壓延する。

裂斷 伸展が終了すれば、裂斷機に懸けて、裂く。一般に裂斷機に懸ける前の肉温が高い程、裂きも毛羽立ちも良い。特に、カナダ イレックス、アルゼンチンマツイカ、ドスイカ等の肉の薄い物は注意が必要で有る。

仕上 多くの場合、裂きが終了すれば、仕上げ調味を行う。調味料の割合は、達磨の調味料の含有量に依り左右され、亦、加工 業者に依り異なるが、下記に其の例を示す。
甘味料:シュガロン、人工甘味料
調味料配合例(單位:サキイカ1000瓦當たりの瓦數)
砂糖302032
甘味料1208
食塩20100120
グルタミン酸ソーダ325180
琥珀酸ソーダ1--
核酸系調味料-0.97
アミノ酸調味料A-53
アミノ酸調味料B-15020
ゼラチン--20
保存料は、此の段階で加える事が含有量を把握する上で望ましい。調味料を充分混合してサキイカに加え、攪拌機で良く混ぜ合わせる。一夜 位置いた後、乾燥機に懸け、調味の浸透と水分調整を行って製了する。最近は第三次調味を行う事も多い。
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生サキイカ(皮附製品)

解説 此の製法には、截劃處理した生烏賊を調味・乾燥した物を原料とする方法と皮附きの儘煮熟・調味・乾燥した物を原料とする 方法とが有る。製造工程は、サキイカ、及び、生サキイカ(剥皮製品)の製法に準じる。
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