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烏賊の經濟と經營に關する索引
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需給動向
解説 日本で流通する烏賊類は大別するとスルメイカ類、ヤリイカ類、コウイカ類に分けられる。スルメイカ類は、日本近海で捕獲され
るスルメイカとアカイカ(市場名ムラサキイカ)とアルゼンチン及びニュージーランド沖で漁獲し八戸港に水揚げされるアルゼンチンイレックスとニ
ュージーランドスルメイカ(市場名は共にマツイカ)が有る。此等は食用と仕て刺身や加工等多様に使用される他、小型の物は鮪延縄漁業の餌
に使用される。ヤリイカ類は、ヤリイカ、ケンサキイカ、アオリイカ等が流通する。コウイカ類は、体内に石灰質の甲を有する種で、近海で捕獲さ
れるコウイカと大量に輸入され刺身、寿司種と仕て使用されて居るモンゴウイカ(ヨーロッパコウイカ)に分かれる。
近年の1977年から1988年に於ける烏賊類の生産量は、平均的に觀れば50萬屯を若干超える水準に在ると謂えるが、1980年に68萬屯
の豐漁に成り、1987年にはニュージーランド沖及びアルゼンチン沖での水揚げが増大し75萬屯に達して居る。
烏賊類需給表 |
年 |
1979 | 1980 | 1981 | 1982 | 1983 | 1984 | 1985 | 1986 | 1987 | 1988 |
供 給 | 生 産 量 | 生 鮮 |
312 | 358 | 274 | 253 | 238 | 261 | 246 | 191 | 320 | 261 |
冷 凍 |
216 | 329 | 243 | 297 | 301 | 265 | 285 | 273 | 435 | 403 |
計 |
528 | 687 | 517 | 550 | 539 | 526 | 531 | 464 | 755 | 664 |
輸 入 | 生鮮冷凍 |
156 | 94 | 69 | 96 | 102 | 103 | 113 | 125 | 102 | 102 |
調 整 品 |
12 | 12 | 11 | 12 | 15 | 21 | 38 | 57 | 71 | 80 |
合 計 |
696 | 793 | 596 | 658 | 656 | 650 | 682 | 646 | 928 | 846 |
期首在庫 |
94 | 126 | 42 | 138 | 170 | 169 | 161 | 207 | 201 | 312 |
需 要 | 在庫増減 |
32 | -84 | 96 | 32 | -1 | -9 | 46 | -6 | 111 | -2 |
食 用 | 生鮮家庭 |
201 | 243 | 229 | 193 | 196 | 192 | 174 | 171 | 202 | 199 |
生鮮外食 |
11 | 197 | -150 | 9 | 25 | 72 | 129 | 181 | 321 | 310 |
加 工 品 |
431 | 421 | 410 | 418 | 426 | 389 | 329 | 297 | 289 | 338 |
計 |
643 | 861 | 489 | 620 | 647 | 653 | 632 | 649 | 812 | 847 |
輸 出 |
21 | 16 | 12 | 6 | 10 | 6 | 4 | 3 | 5 | 1 |
合 計 |
696 | 793 | 596 | 658 | 656 | 650 | 682 | 646 | 928 | 846 |
上記の表は、漁業養殖業生産統計、水産物流通統計、家計調査年報、貿易統計から推定した烏賊類の需給表で有る。此の表の内、食用向
けの生鮮外食消費量は信頼出來る統計が見當たら無い爲に總供給量から生鮮家庭消費量と輸出量、期末在庫量を差し引いた物を計上した。
其の爲、1981年の外食消費量は負の値を示して居る。此處で使用する需給表は漁業用餌料等も組み込んで改良の必要が有るが、1986
年や1987年の外食消費が家庭内消費に近いと謂う點に注目し、此の表を使用する事にする。
需給表の内、供給の特徴は1985年迄期首在庫量、生産量、輸入量共安定的に推移して居るが、1986年は期首在庫量と輸入量が増え、
1987年には期首在庫量と生産量が増えて未曾有供給量と成って居る。此の様に1986年、1987年は生産と輸入の増加が其の儘越年在
庫の増加に繋がり、供給を擴大して行ったと謂える。
一方需要の方は、此等の供給に對應する者の、其の中身を觀ると微妙な變化が觀られる。即ち、家庭生鮮消費量は、1980年以降減少傾向
が觀られ、1980年に24萬3千屯で有った者が1988年には約20萬屯迄減少して居る。此れは小賣形態が『刺身盛り合わせ』と仕て販賣さ
れる様に成った爲、家計調査で把握出來なく成った分が有る事、外食消費や調理濟食品の消費が増加した爲に減少した者と思われる。干し
鯣等の烏賊の加工品に附いても、其の加工生産量は減少して來て居る。此れは一は烏賊加工が多様化して來て居るので、從來の加工統計
には載ら無い調理加工品の消費が増えて居る事が推測される。
以上の様な外食需要の拡大と家庭消費及び加工需要の停滯の傾向は、需要全体と仕ては横這いと謂う結果に成った。其の爲、1985年以
降の供給擴大は、必然的に末期在庫量の急激な擴大を生み出すので有る。