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ブラジルヤリイカ
Loligo sanpaulensis
別称 Calamarete(亞國)、Lula(ブラジル)、Sao Paulo squid(英國)−ブラジル槍烏賊
形態 外形はヨーロッパヤリイカ属のスリナムジンドウイカに類似する。外套部は寧ろ太短かい。鰭は菱形で、長さは脊外套長の57
乃至60%、幅は脊外套長の50乃至56%。鰭頂角は39乃至47度。頭部は外套部よりも細く、頭幅は脊外套長の14乃至18%。漏斗と外
套膜を繋ぐ軟骨噐は單純なT型。眼は表皮と聨續する透明な膜で被われる閉眼型。腕の長さは第3腕と第4腕が粗等しく、第2腕、第1腕の
順。各腕の吸盤は2列で、吸盤の角質環には5本前後の板状歯が有るが、基部側の半円は平滑。雄の左第4腕は交接腕と成り、腕の先端部
約三分の一乃至四分の一には1列の小吸盤が密に並ぶが、吸盤基部が肥大して肉畝状と成る事は無い。触腕は寧ろ長く、ホルマリン固定の
標本では脊外套長よりも長い。掌部は良く発達し、掌部長は背外套長の31乃至43%。掌部には4列の大吸盤が有り、中央の2列が特に大き
い。最大の吸盤の角質環は17乃至27本で、其の先端は尖り、歯間は稍離れて居る。基部寄りの吸盤程角質環の歯が少ない。躰色は寧ろ
淡く、赤味を帶びる。本種は、アルゼンチン水域に分布する他の一種パタゴニアヤリイカとは、鰭の相對的な長さと幅、触腕の長さ、掌部の大き
さと吸盤角質環の形状等に依り區別される。
生態 ブラジル、ウルグアイ及びアルゼンチン水域に分布する。アルゼンチン水域ではサンマティアス灣(南緯42度附近)が南限とさ
れて居るが、其れ以南でも稀に採集される事が有る。沿岸域に多い。
備考 中型のヤリイカ類で、脊外套長17糎に達する。アルゼンチンの市場で見かける小さなヤリイカは大部分本種であると思われる
が、漁業や生態に附いては餘り明確では無い。