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パタゴニアヤリイカ
Loligo gahi (L. patagonoca, L. ellipsura)
別称 Calamarete(亞國)、Calamar(チリ)、Patagonian squid(英國)−パタゴニア槍烏賊
形態 躰は寧ろ細長く、外形はヤリイカ属のアメリカケンサキイカに類似する。但し、雄の大型個体は特に細長く、所謂ドリトゥチス型と
成る。鰭は菱形で細長く、長さは脊外套長の50乃至53%、幅は雌と脊外套長20糎以下の雄では47乃至50%、20糎以上の雄では37乃
至44%。鰭頂角は30乃至43度。頭部は外套部よりも細く、頭幅は脊外套長の11乃至17%。漏斗と外套膜を繋ぐ軟骨噐は單純なT型。眼
は表皮と聨續する透明な膜で被われる閉眼型。腕の長さは,第2腕と第3腕と第4腕が粗等しく、第1腕が最も短い。各腕の吸盤は2列で、吸
盤の角質環には5乃至9本の板状歯が有るが、基部側の半円は平滑。雄の左第4腕は交接腕と成り、先端部三分の一乃至四分の一の吸盤
基部は肥大して2列の畝状に並び、脊側の一列の吸盤は微小か或いは無い。触腕は寧ろ短く、ホルマリン固定の標本では脊外套長よりも短
い。掌部も小さく、其の長さは脊外套長の17乃至21%。掌部の吸盤は4列で、中央の2列が肥大して居るが、両側の2列の物は小さい。最大
吸盤の角質環には32乃至38本の鈍い小歯が基部を接して並ぶ。躰色は紫色を帶びた褐色で、ホルマリン固定標本では雄の大型個体の腹
正中線に暗色の帶が有る。本水域に分布する他の1種ブラジルヤリイカとは、鰭の相對的な長さと幅、触腕の長さ、掌部の大きさと吸盤角質
環の形状等に依り區別される。
生態 ペルー、チリー及びアルゼンチンのパタゴニア水域に分布する。アルゼンチン水域ではサンホルヘ灣(南緯45度附近)が北限
で、陸棚上に廣く分布する。
備考 本種は太平洋側に分布の中心が有り、マゼラン海峡を通り大西洋側に分布域を擴げたと考えられて居る。脊外套長33糎に達
する。