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烏賊と電脳の綜合百科事典
烏賊の王様

烏賊の各論と詳細

ミナミニュウドウイカ
Moroteuthis ingens


別称 Greater hooked squid−南入道烏賊

形態 躰は筋肉質で、太短かく、外套膜の表面は溝で區切られた不規則な皺で被われ、平滑では無い。外套膜は中央部で稍膨らみ、 特に大型個体では顯著で有る。鰭は寧ろ大きく菱形で、鰭頂角は50乃至53度。鰭の長さは背外套長の50乃至52%、鰭幅の81乃至82% に及ぶ。頭部は外套部よりも細く、頭幅は背外套長の17乃至18%で有る。頸部に襞が無い。外套膜と漏斗を繋ぐ軟骨噐は直線的で單純な 溝状。眼球は露出して居る。囲口膜は第1腕と第2腕では脊側に,第3腕と第4腕では腹側に聨結して居る。腕の吸盤は2列で鉤を持た無い。 腕吸盤の角質環は無歯、吸盤は寧ろ小さく、疎らで、第2腕の最大吸盤は背外套長の1.5乃至1.9%。各腕は粗同長。触腕は長いが、其の 掌部長は背外套長の27乃至32%。掌部中央には27乃至30本の鉤が2列に並ぶ。基部側の小吸盤は10乃至13箇で粗同數の肉疣と共に 區画された塊(附着器)を形成する。触腕先端部の小吸盤は14乃至16箇で約4列に密に並ぶ、躰は全体に赤褐色を呈する。本種は外套膜と 漏斗を繋ぐ軟骨噐が單純なT型で有る事、腕に2列の吸盤、触腕に2列の鉤を持つ事、頸襞が無く、躰表面がざらざらして居る等の特徴で他 の種から區別される。

生態 南半球高緯度帶に南極を取り巻く形で分布する。アルゼンチン水域では、少なく共、南緯37度以南の水深120米以深に分布 する。

備考 大型のツメイカ類で,背外套長40糎、躰重2.2瓩に達する。南半球(アルゼンチン、ニュージーランド等)では陸棚斜面部でト ロールに依り時々漁獲されるが、大量に入網する事は無い。本種の生態は未だ殆ど解明されては居ないが、亞南極海全域に於ける生物量は 大きいと推定されて居る。