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ヤリイカ
Doryteuthis bleekeri, Loligo bleekeri
別称 ササイカ、サヤナガ、テナシ、シャクハチイカ、ツツイカ、チョギ、テッポウ−槍烏賊
形態 本種の躰は極めて細長く大型で外套長40糎に及ぶ。眼は閉眼型。鰭(ひれ)は縦長の菱形で、後縁は稍(やや)凹形を呈する。
外套膜の腹中線上に肉畝が有る。腕の部分が他のヤリイカ類に比較して著しく弱小で有る。腕の吸盤環には基部寄りの三分の一を除いて
長方形の歯が10〜14箇有る。触腕は極めて小さく、漁獲に際しては切斷し易い。亦、其の掌部には小さい吸盤が4列有り、角質環には20〜
30箇の鋭い歯が間隔と空けて並んで居る。雄の左第4腕は交接腕と成って居り、先端の三分の一の吸盤は肉嘴に変形して居る。
生態 早春の頃、沿岸に産卵に來るのを漁獲するが、沿岸烏賊の中では北方冷水域種で有る爲、北海道から青森縣沿岸での漁期
開始が早い。卵は隠元豆の実莢に似た寒天質の卵嚢内に數十粒が納められて居て、海底や海藻、沈んで居る木の枝や箱の内面等に密集し
て房状に産み附けられる。此の産卵習性は他のヤリイカ類も同様で有る。沿岸烏賊は餘り長距離の移動回遊は行わ無い様に觀えるが、相当
な回遊はする者の様で、福島縣小名浜沿岸の冬から早春の底曳漁獲物の主力で有る産卵ヤリイカ群は、水深100米位の魚道を茨城方面に
南下して行く。亦、最近では海洋環境の低温化傾向に對應して、日本海での分布域が從來の南限で有った能登半島を越えて南進し、西南
海域の壱岐島以西、特に浜田港を根拠地とする底曳網の早春季の主要漁獲物と成り、底曳漁家の福音と成って居る。