No.1 | ケルシュ | 2002年8月3日 |
ケルシュ(Koelsch)には二つの意味があります。1つはケルンの方言という意味。もう一つがケルンで作られるビールのことです。方言のことは標準ドイツ語ですらろくに話せない”雄悠”にあまり関係のないことなので,ビールのことについて少し。 ケルシュは日本で一般的なラガーとはタイプが異なるエールタイプのビールです。発酵法もドイツでは珍しい上面醗酵で,しかも通常のエールが高温で醗酵させるのに対して,ケルシュは低温で醗酵させます。つまりエールとラガーのいいとこ取りをしたビールで,エールのように重たくなく,ラガーよりはフルーティーで味わい深いものになります。 ケルシュは ケルシュ協定 に従って,ケルン大聖堂から半径50km以内の26の醸造場のみで製造が許されています。また,流通も非常に限られていて,実質的にケルンとその周辺でしか飲むことができません。 ところで最近,日本では地ビールメーカーなどがケルシュと名の付いたものを盛んに出しています。でも,これは上記のケルシュ協定からして,あくまでも「ケルシュタイプ」というだけで,決してケルシュではありません。また,最近はケルン以外の地域でもケルシュが飲めたり,あるいは日本にも輸入されているものもあります。でも,ケルン以外で手に入るケルシュはケルシュの中でも最低ランクのもので,ケルンではあまり好まれていないものです。 実はケルシュは非常に鮮度にこだわるビールで,缶詰や瓶詰めのものではすでに味の劣化が始まっています。これが,製造と流通が限られる最大の理由です。本当のケルシュを味わいたいのであれば,やはりケルンのビール会社直営の店に行って,樽から出てきたばかりのものを飲むのが一番です。事実,ケルンの酒場で飲むケルシュは本当に美味しいです。ちなみに”雄悠”のお勧め銘柄は Reissdorf と Frueh です。ケルンを訪れることがあれば,ぜひ試してみて下さい。 |