15.今更気付いた





ううん、といつもと違い真剣に何かを考え込んでいるツナを見た時から、嫌な予感はしていた。
けれど、何かわからないことでもあるのかと、ちらりと親切心というものが働きかけてしまう辺り、自分の性格は丸くなったのかと思う。
丸くなった性格やらに少し腹を立てつつも、溜息をついてからツナを振り返った。

「おい。さっきから何悩んでやがんだ」

ザンザスの言葉にツナはぱっと悩み顔を上げる。
少しだけ首をかしげて、ううん、と唸った。

「あのさザンザス。好きとか愛してるとか、言葉以外にそういうのを示すのって、どうしたらいいと思う?」

聞かなければ良かったと思った。
こめかみを必死に押さえて込み上がってくる何かを抑える。
真剣な顔でこちらを見てくるツナが、正直むかつく。
苛々をおさえながらも、投げやりに言葉を返した。

「言葉がダメなら行動しかねぇだろうが」

パチン、と両手を叩く音が聞こえる。
悩み顔が一気に笑顔になり、嬉々としてツナは椅子から立ち上がる。

「うんうん。やっぱり行動だよねー」

言いながらすたすたとザンザスに近づくと、素早くザンザスの上に乗りソファに押し付ける。
にこ、と笑うと、かわいこぶるように首を傾けた。

「ザンザスが言ったんだからね?行動しかないって」

言わなければ良かったと、思った。
まるで誘導尋問みたいじゃねぇか、と叫んだが、ツナはただにこにこしながら、今更気付いたの?と笑った。