現在(高校生)ツナと20年後ザンザス
※ホントにツナが死んでいたらってゆう捏造ついてます






もくもくと部屋の中に煙が充満していた。
煙のもとをたどれば、ランボが持っているバズーカーに行き当たる。
思わず逃げ出したくなる足をなんとかふんばって、重く重くため息をついた。
そして、バズーカーを持って呆然としているランボの背を押し、部屋から出てゆけと促す。
逃げ出すように部屋から出て行ったランボを見送る頃になると、ようやく煙が薄れてきた。
もう一度重すぎるため息をついてから、パチンと両手を合わせ頭を下げた。

「あの、えっと、その、ランボがバズーカー誤射しちゃってそれが貴方に当たっちゃって、そのうん。ごめんなさいザンザス…!」

言ってからそろそろと顔を上げると、そこには相変わらずの黒服姿のザンザスがいた。
ただ、

「…あれ…なんか思ったより老けてる…?」

今から10年後というわりに老けているような雰囲気だった。
そういえば爆音が2度聞こえたような気がする。
まさか、と思いながらうつむいているザンザスの顔を、そろりと下からのぞきこんだ。
その瞬間、ぽたり、と顔に何かが落ちた。

「ザン、ザス…?」

先ほどのランボと同じくらいに呆然とした。
見上げたザンザスの閉じた目からは、ぽたりぽたりと止めどなく涙が零れ落ちていた。
両手で口元を押さえて、必死に嗚咽をかみ殺している。

「あの、ねぇ、ザンザス、どうしたの何かあったんですか?」

そろりと頬に触れると、ザンザスの体がびくりと震えた。

「ザンザス…?」

もう一度名前を呼ぶと、顔をあげたザンザスが倒れるようにツナを抱きしめた。
そして、嗚咽が混じった声で、狂ったようにツナの名前を呼んだ。
それがひどく長い時間そうしていたように感じた。
どうして泣いているの、とか。
なにがあったの、とか。
なにも聞けなかった。
ただ、背中にまわされたザンザスの手が震えているなと思いながら、同じように彼を抱きしめることくらいしかできなかった。
ひゅっ、と喉が鳴る音が耳元で聞こえた。

「どうか、」

ザンザスの声が途中で消えた。
そして、腕の中には若いザンザスがいた。

「あ、れ?」

もう5分たったんだ、と思った瞬間腹にザンザスの足がめりこんだ。

「離れろドカスが!」

ザンザスは、腹を押さえて蹲るツナから離れると、部屋から出、壊れると思うほどの力でドアを閉めた。
残されたツナは、腹を押さえたまま、ごろりと床に寝転がる。
目を閉じると、泣いているザンザスの顔が瞼の裏にうつった。
いったいあれはなんだったのだろう。
今度、ランボからバズーカーを借りるか、20年後まで覚えていたら何があったのか、訊いてみようと思った。





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