オレンジ色の包みを開けて、中から丸い飴玉を取り出す。
それを口の中に放り込んで、ごろりとコンクリートの上に寝転がった。
一度目を閉じてから、ゆっくりと開く。
青い空と、了平の顔が見えた。

「…よォ」
「おう」

握りしめた拳を上に上げると、ごつりと了平の拳がぶつかった。
それから了平は獄寺の隣にコンクリートの上に寝転がる。
ひくり、と鼻が動いた。

「なんだか、今日はずいぶんと甘いにおいがするな」

了平の言葉に、獄寺はむっと眉を寄せた。
少し考えてから、むくりと体を起こす。
立ち上がり、了平を跨いで立つと、ズボンのポケットに手を突っ込んだ。
ぽとり。
ぽとりぽとり。
ぽとりぽとりぽとり。
ポケットから手を出すたびに、了平の上にいくつもの飴玉が転がり落ちる。
上着に手を移すと、上着のポケットからはかわいらしく包装された焼き菓子が落ちた。
ぽとりぽとりと了平の上に菓子がたまってゆく。
最後の菓子を落とすときには、了平は菓子に埋もれていた。

「やる。ぜんぶ」

もう持っていないことを確かめながら、獄寺は了平に言う。
了平は大量の菓子を眺めてから、首をかしげた。

「今日は何かの日か?」
「別に。フツーの日だよ」