「おい、家光」
「なんだー」
「俺は、お前が好きだった」

くるりと家光が振り返る。
赤い瞳と目が合った。

「だった、っていうのは、過去形ってことでいいのか」
「いい」

ザンザスが、ひどく優しい目をした。

「俺は、アイツと生きて、アイツと死ぬ」
「そう、か」

こくりと頷くと、ザンザスがまた名前を呼んだ。

「家光、」
「なんだ」
「今まで、ありがとう」

なんだよ。
なんだよ、俺はもういらないみたいなこと言うなよ。
そう言ったら、ザンザスは、そんなわけねぇだろ、と言ってくしゃりとわらった。
今まで見たことのない、やさしいえがおだった。
少し。
涙が出た。






あの時、






















ありがとう