両手にいっぱいの花を持って歩く。
神社の後ろにある森をずっとずっと奥へと進んで、たくさんの花が積まれている場所にでると、持っていた花を地面にばら撒いた。
地面の上にはたくさんの花と、ひとりの男がいた。
男は怪我だらけで血まみれでぴくりとも動かない。
山本は男のためにたくさんの花を買ってきてはばら撒いていた。
さっき撒いた花で10回目。
男は花に埋もれていて、それを見てまるでおとぎ話の眠り姫のようだと思った。
思ったものの似合わない気がして小さく笑う。
そして、男の傍に膝をつくと、男に優しくキスをした。
顔を離すと、男は相変わらず眉を下げて笑っていた。

「…寝込み襲うのなんて、やめてくれないか」
「いやいや、ただの目覚めのキスですよ」

おはよう負け犬、と言って笑いながら男にもう一度キスをした。