窓に腰掛けて庭を見ていると、きらりきらりと輝くティアラが見えた。
少しだけ体を外に乗り出して、目を細める。
睨む様な目で見ていたら、ティアラと同じくらい輝いている金髪がふ、と揺れた。
ひゅぅんと風を切る音がして、心臓めがけてナイフが飛んでくる。
それをトンファーで跳ね上げた。
床に落ちたナイフを拾い上げて、くるくると回す。

「あの…」

ナイフを回していたら、隣から遠慮がちな声がかかる。

「なに、」

振り返るとツナが手を止めてこちらを見ていた。

「後ろでそんな物騒なもの持つのやめてくれませんか…」

ぎこちなく笑うと、雲雀は持っていたナイフをハンカチに包んで仕舞った。
ありがとうございます、とツナが礼を言う。
落ち着いて手を動かし始めようとしたツナだが、ん?と首をかしげてまた雲雀を見た。

「今のナイフ、雲雀さんのじゃないですよね」
「違うよ」
「どっかで見たような気がするなぁ…」

うーんと首を傾げるツナに、雲雀はちらりと窓の外に視線を向ける。
きらりきらりとティアラが輝く。

「ナイフ、」
「はい?」
「ついでに返してくるよ」

ツナが窓の方を見るのと雲雀が飛び降りるのが同時だった。
ひらりと窓から飛び降りて、金髪の青年の前に立つ。
青年はきょとんとした顔になってから、にぃ、と口の端を精一杯上げて笑った。

「おまえさぁさっきから俺のこと睨んでなに?ころされたいの?」

雲雀はナイフを取り出すと、ぽいと青年に投げる。

「それを返しに」

あっそう、と言ってつまらなさそうにナイフを仕舞う青年に、それと、と雲雀は続ける。

「アンタの名前を聞きに」