「ひま」

言ってずるずると椅子からずり落ちる。
ぺたりと床に座り込んだところで、ソファに座っていたザンザスが呆れた顔をこちらに向けた。

「だらしない」
「だぁって…」

ちら、とツナは窓の外に視線を向ける。
さらさらと静かに雨が降っていた。
それを見ながら、ツナが大きくため息を吐く。

「雨、降ってるし…。外出れないし…。やる気でない…」

ぷぅ、と頬を膨らませるツナに馬鹿か、という視線を向けて、ザンザスは立ち上がり床に座り込んでいるツナに近づく。
そして机をがつりと軽く蹴った。

「やる気をださねぇとこの仕事、終わんねぇぞ」

机の上に山のように積み重なった書類を横目で見る。
けれどツナは書類から目をそらして、膝を抱える。

「やる気でない」
「殴るぞ」
「それもいや」
「殺すぞ」
「もっといや」

ザンザスが苛々しているのはすぐにわかった。
ドンボンゴレがこんな態度をとれば、怒ることなんてわかってた。
だからすぐに謝る。口先だけで謝っても彼は怒るけど、謝らないのよりはマシだった。

「ごめん。うそ。はたらく。一応おれはえらいひとだものね」

顔を上げてにこりと笑う。

「あのさ、すごく頑張ってこれ一日で終わらせたらキスしてもいい?」

終わらせたら、と言いながらもゆっくりと近づいてくるツナの顔を、がしりとザンザスが掴む。

「そんなに都合よくいくか」
「だよねぇ」

ふふ、とツナが眉を下げて笑った。





この後きっとアイアンクロウ。


 そんな都合のいい話があるか