※Next #2の続きです テラスでお茶を飲みながら、のんびりしていた。 うとうとし始めているツナが、思い出したように口を開く。 「ねぇ、訊いてもいい?」 「答えられることなら」 うん、と頷いて、ツナは骸を見る。 「あのさ、どうしておまえは地獄に落ちたの?」 ツナの言葉に、骸の動きがぴたりと止まる。 骸はゆっくりとツナを見て、少しだけ口の端を上げた。 「聞きたいですか?」 「聞いてもいいことなら」 大丈夫ですよ、と言って、骸は頷く。 目を細めて、遠い遠い空を見上げ、口の端をいっぱいに上げて笑った。 それは、泣き出しそうな顔だった。 「私が地獄に落ちたのは、貴方の前世を殺したからなんですよ」 腕を伸ばして、ツナの心臓に人差し指を向ける。 トン、と指の先がスーツに触れる。 「銃で心臓を撃ち抜いて、殺したんです」 ふ、と骸が俯く。 小さく首を横に振ってから、ぱっと顔を上げて、笑った。 今までのは全部嘘です驚きましたか?と骸は言うけれど、ツナは首を縦に振った。 「嘘でいいよ」 「嘘でいい、とはどういう意味ですか」 問いかけてくる骸の手を、そっと握る。 「だっておまえは、その話が嘘だったらいいと思ってる」 全ては嘘で、全ては冗談ならば良いと。 「全てが、偽りや幻ならばよかったと、思ってる」 そうであったなら、どれほど、幸せだっただろうと。 「私、は、」 握った手が強く握り返してくる。 握られた手に骸の額が触れた。 「…どうして、生まれた…。 貴方がいなければ思い出すことなんてなかったかもしれないのに…!貴方は、どうして生まれたんだ! 私はきっともう一度貴方を殺す。そして廻って、また貴方を殺すんだ…!」 ぽたりぽたりと手に水滴が落ちる。 「どうか、私に貴方を殺させないで…」 最後の嗚咽の混じった言葉は、ひどく祈りに似ていた。 そんなことを思いながら、強く強く握られた手をどうしていいのかわからず、ただぼんやりと祈る骸を見ていた。 Next #2.5 |
(けれどきっと おれは おれをころしてくれと かれにいうのだろうな…) |