梅雨が終わって夏が来て。
あとは夏休みを有意義に過ごすだけだった。
今回は補習もない。
濃い影を残す道を歩きながら、3人はアイスを食べつつ明日からのことを話す。

「明日から夏休みですよ、どうします10代目!」
「うーんどうしようかなぁ。山本は野球の練習?」

冷たい氷を一気に食べたのか、頭を叩きながら山本は頷く。

「あぁ、月、火、水、木は練習だな」
「うわー大変だねぇウチの野球部も」
「大会もあるし、練習増えたんだ」
「暑苦しいぜまったく」

ぱたぱたとツナと自分を交互に団扇で扇いで、獄寺は息を吐く。
食べ終わったアイスのゴミを袋に入れて、もう一つの口を開けた。

「なんかパピコって2つついてるからお得感あるよなー」
「あ、わかるかも。ガリガリくんとかも二つに割れていいよね」

ツナがそう言うと、二人は同時に、ちょっと食べる?とアイスを差し出してきた。
ツナは笑って、二人のアイスを少しずつもらい、自分のアイスも二人に差し出す。
二人ともお前が食べろと言ってくれたけれど、それじゃぁ不公平だ、と言うと素直に食べた。
3人で笑って、またアイスを食べ始める。

「山本の練習がないのが金、土、日だから、2泊3日とかで旅行っていうのもいいかもね」
「田舎の川とか行ってみたいな俺」
「なんでわざわざ田舎なんだよ!」
「なんか静かで涼しそうじゃねぇ?」

確かに、とツナと眉を寄せた獄寺が頷く。
そしてもぐもぐとナッツを噛んでいたツナが、思い出したように二人を見る。

「そういえばもうすぐ花火大会あるよね。皆でそれ行こうよ」
「おぉいいなそれ。打ち上げ花火っていいよな音とかデカくて。獄寺の花火もすごいよな音」
「コレは花火じゃねぇ!」

むっとしてダイナマイトを取り出す獄寺を宥めさせて、ツナは残ったアイスを一気に口に運ぶ。
さて、明日からどうしようか。
そう思いながら残った棒をくるりと回した。

「あ、」
「ん?」
「え?」

二人が両隣からこちらを覗きこんでくる。
ツナはアイスの棒を嬉しそうに空に掲げた。

「大当たり!」




 明日のことは 明日から考えよう