部屋の中に大きな大きなベッドがあった。
そのベッドの真っ白なシーツがもぞもぞと動く。
ひょいと金色の髪が除いて、寝ぼけた目が窓の外を見た。
すると、今までぼんやりしていた目がぱっと輝き、シーツをはねのけて金色の髪が外に飛び出す。

「むくろさんむくろさん!」

ベッドから走り出て窓ガラスにへばりつき、キラキラとした目で、犬はまだシーツの中にいる骸を呼ぶ。
隣で寝ていた千種も大声で呼んだ。
二人は眠たげに目をこすりながら、のそのそとベッドから起き上がる。

「むくろさん雪がふってるれす!」

外を指差しながら、犬はベッドに戻って二人の手を取る。
ぐいぐいと引っ張ったが、二人は寒いのかベッドから離れようとしない。

「犬、まだ寝ていなさい」

骸が半分閉じた目で、犬の頭を探しあてぐしゃぐしゃと撫でる。
その間に千種が犬をベッドの中に引き戻した。
犬を真ん中にして、二人はまた目を閉じる。

「もう少し暖かくなったら起きて、遊びましょう」

もう話すのも面倒だという風な骸は、犬の頭を撫でながら眠った。
千種は犬の手を握り締めたまま眠った。
犬は、真っ白に染まった風景を思い浮かべて、幸せな気持ちで眠った。




昼、ようやく暖かくなり始めた頃になって、外で楽しそうに笑う声が聞こえた。





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