ある晴れた日のことだった。
地面にはぽたぽたと赤い水滴が広がっていて、空は明るいのに、地面が闇のように暗く見えた。
真っ青な空を背負うザンザスを見上げて、ツナはにこりと笑う。

「あのね、おれはお前に内緒にしてたことがあるんだよ」

少し喋るだけで、体中のいたるところから血がふきだし地面と白いスーツを汚す。
軽く咳くと、血がこびりついたように喉の辺りに残った。
ぼんやりとしてきた視界で、必死に目を凝らして彼を探す。
青空に向かって手を伸ばした。

「おれはさ、ずーっとずーっと、おまえがすきだったんだ」

ようやく探し当てた彼のスーツを握り締めて、残った力で必死に彼を引き寄せる。
血だらけの手で、彼を強く強く、抱きしめた。

「ずーっと、ずーっと。まえからだよ」

おまえは気づいてたかなぁ、とツナはへにゃりと笑う。
知らなかったよねぇ、と続けて、ぼろぼろと涙を流す。

「すきだよ。すきなんだ」

死にたくないかも。
泣き言を一つ。
彼は何も言わず、べり、とツナを引き離すと、いつもの眉間にしわを寄せた顔をツナに近づけ、ひどく優しいキスをした。
そして、耳元で早口でイタリア語を言うとそっと離れる。
ツナは目を閉じて、にこりと笑った。

「でもね、お前のそういう中途半端に優しいとこが、泣きたくなるくらい、嫌いだったんだ」







 



















白い部屋の扉を荒っぽく開けると、へにゃりとした笑顔がむかえた。

「おはようザンザス」

一応眠ったから許してよ、という声がして、思わずドアを壊して投げつけた。