深夜に見つけたのは、うっすらと明かりがついている部屋。
ノックもなしに扉を開けてみると、大きな机と、高く積みあがった書類と、赤い目の青年が見えた。

「なんだ、まだ寝ないのか?」

言いながら、遅すぎるノックをして勝手に部屋の中に入る。
青年は少しだけ顔を上げて家光を見、面倒そうに息を吐いた。

「まだ仕事が残ってる」
「明日でも良い仕事なのに?」
「明日になったらまた増える。増えすぎると蹴り倒したくなる」

それもそうだ、と家光は笑う。
そしてすとんとソファに座ると、にぃと悪戯っぽく口の端を上げた。

「今寝たら俺が添い寝くらいしてやるのになー」

ぴくりと反応を示した青年に、家光はふっ、と笑う。

「じょーだんだよ」

灰皿とってくれ、という言葉に、青年はひきつった笑みで灰皿を全力で投げた。