05:床に散らばる星を眺めては




床に鉄くずなどと一緒にいたるところに菓子が散らばっていた。
それを一つずつ拾い集め、机の邪魔にならないところに置く。
ちら、と見下ろすと、ヴェルデの足元にも菓子が散らばっていたので、それも拾い上げる。
全て拾い上げると、大量の菓子が机の上で山になっていた。

「…これは、どうしたんですか」

甘ったるいにおいや色をする菓子を眉を寄せて眺めるラル・ミルチに、ヴェルデは何かの図面から顔を上げずに答える。

「スカルの阿呆がくれた」
「奪ったんですね」

大量の菓子を眺めて、部屋の菓子を全部とられたのだろうな、と思いながらラル・ミルチは息を吐く。

「奪うにしても、別に全部奪わなくても良いのではないですか」
「馬鹿に食わすくらいなら、俺の脳の栄養のために使われた方が菓子も本望だろう」
「彼は軍師です。彼だって頭は使いますが」
「ハッ!お前、アイツが戦略を立てて攻めたのを見たことがあるのか?」

鼻で笑ってヴェルデは大げさに手を振る。
ヴェルデの言葉に何か言葉を言い返そうとしたが、何も言い返せず黙ってしまう。

(確かに…見たことがない…)

ラル・ミルチは大量の菓子を眺めながら、取り戻せそうにない、と心の中でスカルに頭を下げた。