02:銃口を覗いたら何が見えた?




ノックをして中に入ると、銃口がラル・ミルチを出迎えた。
見たことのない銃を真っ直ぐに見て、ゆっくりと口を開く。

「…用というのは、それの的になることですか」

ラル・ミルチの言葉に、銃を構えていたヴェルデが馬鹿にしたように目を細めて笑う。

「的になれと言えば、なってくれるのか?」
「臓器を避けてくれるのならば」

上着を脱ごうとするラル・ミルチを手でやめろと制して、ようやく銃を下ろす。
銃を机の上に放って別の銃を手に取り、カラカラとリボルバーのシリンダーを回しながら、顎で机の上を示す。

「新しいものを造っている。いくつか持っていって試せ」

机に近寄って何丁か取ろうとするラル・ミルチの手に、リボルバーの銃口を押し付ける。
何のためらいもなしに引き金を引いた。
けれどカチン、という音が出ただけで、銃弾は出なかった。

「今度来る時は愛想でも持ってこい」

ぽいとリボルバーをラル・ミルチに渡して背を向ける。
それをしまいながら、ヴェルデにぽつりと呟く。

「人に躊躇いもなしに引き金をひく神経をどうにかしていただければ、善処します」

そりゃぁ無理だ、とヴェルデの背中が揺れた。