ばさばさばさ。
上から花が降ってくる。
書いていた書類は花に埋もれ、ざっと横に除けると花粉で紙が汚れた。

「俺は今ものすごく真面目に仕事をしていたんだが」
「きみはいつも煙草かコーヒーのにおいしかしないよね。どちらもあまり好きじゃないんだ」

上から降ってきた言葉に、肩をがくりと落とした。

「会話が成立してないぞ」

ぐしゃぐしゃと花粉がついた書類を丸めてゴミ箱へ投げる。
白衣のポケットから煙草を取り出して口に咥えたが、すぐに鼻先をトンファーがかすめた。
煙草が真っ二つに割れて、先が床に落ちる。
残りの煙草が入った箱も取り上げられ、窓から焼却炉の方に投げられた。

「お…おまえ…」

ぶるぶると震えながら窓の外を眺めていると、また上から花が降ってきた。

「こっちのにおいの方が好きだよ」

ネクタイを掴まれ引っ張られて、ぶつかるようなキスをされる。
顔を離したら彼の鼻の頭に花粉がついていて、思わずふっと笑ってやった。