「ザンザスちょっと、」

来い来い、と手で呼ばれ、ザンザスはチッと舌打ちをしながらも、ツナの方に足早に寄ってくる。
イライラとしているのがわかる足音を聞きながら、ツナは真横に立ったザンザスに手を伸ばす。
両方の目じりに指を当てると、ぐっと下に下げた。

「たれ目」

ぷーっと吹き出しながら笑ったと同時に、座っていた椅子が粉砕された。
ごうごうと床から熱と煙が上がってくる。

「あ、弁償だからねコレ」

跡形もなくなった椅子を眺めつつ、ザンザスからの炎の銃弾を避けながら、ツナはにこりと笑う。

(かわいいのに、なんて言ったら余計に怒るかなぁ)

どんどん破壊されていく部屋から逃げ出しながら、ぽつりとそう思ったが、やはり口に出すのはやめた。