「あら、その顔どうしたの?」

ベルの紫に変色した口元や頬骨辺りを眺めながら、ルッスーリアは眉を寄せた。
読んでいた雑誌から顔を上げると、ベルはに、と笑う。

「まーもんとえっちぃことしてたらなぐられた」
「………」

なにをしてるんだか、という視線に、ナニをしてるんだよ、と視線を投げ返し、雑誌を机の上に放る。

「照れ隠しに殴られんだよね。しかもグーで」
「…あの子そんなに強かった…?」
「顔がこんだけ色変わって、肋骨にヒビが入るくらいには強いよ。ちょっと動きが遅いから実戦には使わないけどね」

言いながらベルはシャツをめくる。
腹にぐるぐると包帯が巻かれていた。
それを見て、ルッスーリアがはぁと大きく息を吐く。

「あんたも避けるか受け止めるかすればいいのに」
「やだよ」
「どうして」
「善がりながら必死に殴ってくる時の顔がえろいか、」

にぃーと口の端をいっぱいに上げて笑ったベルの頭に、いつの間にか現れていたマーモンの拳がきまった。