「治してよ」

言葉と同時に、後ろからシャマルの喉元にトンファーが押し付けられる。
シャマルは椅子に座ったまま、首だけを後ろに向けた。
ギィと椅子の背もたれが煩く鳴る。

「何をだ」

見下ろしてくる冷たい目を見返して、シャマルはわざとらしく首を傾けた。

「桜の病気。あんたが原因なんだって?」
「あ、くそ、リボーンのやろチクったな」

ちっ、と面白そうに舌打ちするシャマルに、雲雀はすぅと目を細める。

「あんたのせいで、いろいろあってね。ちょっとイライラしてる」
「花見できなかったのがそんなに嫌だったのか。そりゃぁ悪かった」

くつくつと喉で笑う。
その喉にさらに強くトンファーが押し付けられた。

「治さないと、」
「咬み殺す、か?」
「窒息するまでキスするよ」
「よし治してやる」

トンファーを押しのけて、シャマルはがばりと起き上がる。
ちゃんと正面から見た雲雀の顔が、残念そうに少し歪んだ。