後ろから近づくのは怒られるから、前からずんずんと近づく。
椅子に座っているザンザスの膝にすとんと座ると、にっ、と笑った。
自分の頭にのっていた王冠を、ザンザスの頭にのせる。

「案外似合うね」

言って、ベルはくくと、喉で笑う。
笑うたびに腹に当てられた銃口が一緒に震える。
体を曲げて銃が握られた手に、ちゅ、と口付け、王冠をまた自分の頭にのせると、ザンザスから離れた。
気がすんだという風に、ベルはザンザスから遠ざかる。
だが、一度立ち止まって、くるりと振り返った。

「今度は薔薇の花束でも持ってくるよ、おひめさま」

に、と笑うのと同時に、ベルの足元に銃弾が飛んだ。






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