急に呼び出されたかと思ったら、担ぎ上げられて部屋に放り込まれた。
きちんと部屋に鍵をかけてから、雲雀は床に転がったままのシャマルを拾い上げて、今度はベッドに放った。
そしてシャマルの上にすとんと座ると、手を伸ばしてごろごろと、猫にするように喉を撫でる。
シャマルはその手をパチン、と軽く叩き落すと、うんざりした目で雲雀を見た。

「一応聞くが、きれーなおねーちゃんはどこだ」
「いないよ」

あぁそうですか、と言ってシャマルは体の力を抜く。
柔らかいベッドに体を預け、両手で顔を覆いめそめそと泣く真似をした。

「きれーなおねーちゃんが俺を待ってくれてるとか言うから来たのに、いるのは欲求ばっか先立つヤローだよ。俺って本当に不幸。不幸の星の下に産まれた不憫な王子だ」

ぶつぶつと文句を言ったが、全て雲雀には聞こえていないようで、勝手にこちらのズボンのベルトを外しにかかっている。

「ちょっと待て。ものすごく待て」

雲雀の腕を掴んでやめさせようとするが、雲雀は薄く笑って片手でシャマルの両手を押さえ、もう片方の手は伸ばしてまたシャマルの喉を撫でた。

「ごろごろ、言わないの?」
「俺は猫じゃねぇ。暇なら外に出て、青空の下そこら辺の野良猫とでも遊んで来い若人」

首を振って雲雀の手から逃げ出そうとする。
それを見て、雲雀がにぃ、と笑った。

「一応遊んでるけどね、ネコ、と」

シャマルの動きがぴたりと止まる。
雲雀の言葉の意味がすぐにわかったのか、ばた、と大きく暴れた。
そして馬鹿を言うな、俺は、と反論しかけたが、なんだか言うの馬鹿らしくなって途中で言葉を止める。
大きく息を吐くと、雲雀が掴んでいた手を離した。シャマルが諦めたのがわかったのだろう。
ベッドに手をついて、覆いかぶさるようにシャマルに軽く口付けた。

「今度首輪でも買ってあげようか」

顔を離してにっこりと笑った雲雀に、全力で嫌な顔を向けた。