外をぶらぶら歩いていたら、山本と出会ったので。
真昼間だったけれど、近くのバーに入った。
お互い酒を頼んで、他愛ない世間話をする。
ほろ酔い加減になってきたところで、急に山本の口からリボーンの名前が出た。

「そういえばさぁ、お前、好きなんだっけ」
「誰を?」
「リボーンのこと」
「はぁ!?」

ガタン、と立ち上がった拍子に、グラスが倒れて中身がこぼれた。
違うの?と山本は首を傾げたが、ランボはただ口を開けたまま立ち尽くしている。
初老の男が机を拭いて、新しいグラスを出し、酒を注いだ頃になってようやくふらふらと椅子に腰を落とした。
酔いが一気に醒めたが、新しく注がれた酒を飲む気にもなれない。

「ちょ、ちょっと待ってくれるかな…え、ごめん今のは幻聴…?」

額に手をあてて気のせいだと自分に言い聞かせる。

「あのね、俺は、リボーンを好きなんじゃなくて、殺したいの、わかるかな?」
「でもなんかお前ら仲よくねぇ?」

仲が良い、と言われたがそんな場面自分でも見たことがない。
後ろから襲い掛かろうとして足払いをかけられたり、不意打ちしようとしたがかわされ殴られたことなど、仲が良い、とは全く関係ないことなら全力で思いつく。

「どこらへんを見たら仲が良く見えるのか訊いていい…?」
「えー、こないだとか一緒に酒飲んでたじゃん。それに結構お前ら一緒にいるし」
「あれはあっちがいきなり、いつもここで飲んでるんだとか言って隣に…」
「あぁ、そっか」
「ちょっと…君、人の話聞いてる?」

ランボの話をまったく聞いていない山本は、ぽんと一人手を打つ。
笑顔でランボを指差した。

「リボーンがお前のこと好きなんだ」

まさかだろう。
眩暈がする。
山本の声が、世界が崩れるような音に聞こえた。