宇治川助教授のDXレポート
DX7 series ですが、古いもん順に、
DX7
DX7IID, DX7IIFD
DX7S
DX7C (DX7 Centennial:百周年記念100台限定販売)
とあります。
DX7 は元祖本家本元。世界を震撼させたモデルです。あまりにも革新的すぎて、
「デラックスなな」と読んだやつがいたとかいなかったとか。私の記憶でも
MIDI を「えむあいでぃーあい」と読むやつがいました。しかし当のヤマハは、
こんなに売れると思って無かったらしく、実は構造自体が量産に向いて無い
設計のまま発売したのだそうです。
それで4年ほど引っ張って、出してきた改良型が DX7II series。音源が2系統
になり、スプリットやデュアルができるようになりました。さらに LFO が
各ヴォイスに独立してかかる、変な音階も作れる進化したチューニング、
鍵盤3鍵ごとにオペレーターの出力レベルを設定できるフラクショナル・レベル・
スケーリング(これは凄まじい)、他にも改善された D/A、なぜか前より
悪い鍵盤タッチ、これは格段に見やすく操作しやすくなった LCD とボタン
(前が悪すぎた)等など、桁違いの発達ぶりを見せつけるマシンたちでした。
その前の DX5 が50万円以上していたことを思えば、技術革新を勝ち誇るような
進歩ぶりで、私など言葉もありませんでした。ところで DX7IIFDというのは、
フロッピー・ドライヴを内蔵した機種です。エクスクルーシヴも保存できて
データ・ファイラーにも使えましたが、この使い勝手はさすがにちょっと
早すぎたのか「?」だったように思います。
そして数カ月遅れて突然 DX7S が並売されます。これは DX7IID の音源を
1系統のみ搭載し、LCD も小さくした機種。確か 16万8千円くらいだったと
思います。あのDX7が進化してこの値段、へー安い!と思った憶えが有ります。
それでも当時は、あまりほしいとは思いませんでした。というのもその少し前に、
Roland: D-50 が発売されていたのです。その結果は、皆さんも御存じ でしょう。
良い機種なのにタイミング悪くて、不運な機種でしたね。
翌年100台限定販売された DX7 Centennial は、ヤマハ百周年記念モデルで、
DX7IIFD をそのまま 76鍵に拡大、ボディは銀色、スイッチとホイールは
純金メッキ(!)、鍵盤は夜光塗料が仕込んであって光る(!!)、価格は50万円(!!!)で
そのうち半分はメッキに使った純金の値段らしい!!!!! でも数カ月後、
俺は中古で半額で発見したぞ!!!!! ちゃんとメッキは健在で、たぶん
金も暴落したわけでないと思うので、ということはあの中古品では正味の本体価格は
ゼロに等しかったのかっ!?
今思えば、無理して買っておくんだった、あんなアホなレアなモデル。
あとモジュールなら、旧DX7 の据置型音源 TX7。これは旧7がベンド・レンジを
音色毎に記憶できなかった(!)ので、旧7と組み合わせて使う事で、旧7の
ベンド・レンジ情報などのみ記憶してくれる機能など、過渡期ならではの
ユニークな音源でした。
さらに旧 DX7 を1〜8台分まで自在に拡張できた怪物 TX816。DX7II を
ラック化した TX802もありましたね。TX802は唯一のマルチティンバー駆動
できる DX7 でしたが、それしかできないという、つまり逆にシングルモードが
無いので、私なんか仰天してしまいました。でも重ねてディチューンした音は、
アナログとも違う面白さがあって良いですよね。
ほんで今度は、なんですか、全DXシリーズ紹介!?
うーん、なんでこうも私がしゃしゃりでそうな話ばかり、って俺が勝手に
他人んちのホームページで我が物顔にのさばってるだけか。そろそろ自分の
ページ作って掲示板持てって言われそうですな。で、ひところのページに
定住せず騎馬民族のごとく他人のページを荒し回る私は、一向に気にせず
DX について喋る訳ですが、例によって古いもん順に、
DX1/7/9
DX21
DX5/27/100
DX7IID/7IIFD
DX7S
V2 (DX11)
DX7IIC (DX7 Centennial)
V50
ヤマハは、スタンフォード大学チョウニング博士からFM音源の特許を買取り、
ノウハウをものにしたあと後、いくつかのプリセット・キーボードを生産
(GS1/2, CE series)。
これを元に、ユーザーでも音が自作できるFMシンセの開発が進み、ついに
初代三部作登場。どれもが16音ポリフルディジタルでMIDI, LCD付なのは、
6音ポリ程度が標準だった当時、恐ろしく画期的でした。
DX1は、73鍵 6オペレーター32アルゴリズム2系統で、195万円!
DX7は、61鍵 6オペレーター32アルゴリズム1系統で、24万8千円。
DX9は、61鍵 4オペレーター8アルゴリズム1系統で、19万8千円。
DX1は圧巻で、木製ピアノタッチ、LCDでかい上に、フロントパネルはLEDだらけで
アルゴリズムの形まで赤いLEDで図解表示! クリスマスツリーの如きゴージャスな
モデルでした。中古で「百万円引き!」と書かれて売られているのを見た事
有りますが、それでも95万円! 一度だけピエール氏宅で、大江千里だったか
真白の DX1 を使っているのをテレビで見ましたが、あれは何だったのだろう?
DX9は、DX7と良く似ているのですが、これはなんと鍵盤が、ヴェロシティにも
アフタータッチにも対応していない! 4オペでも16音ポリだったりエンヴェ
ロープ等が7並みに細かく設定できたりするので、実はあなどれないのですが、
でも多くの人が「だまされた」と思った事でしょう。DX21が出ると、ますます
そう思ったに違い有りません。
そのDX21、やはりタッチセンス無く8音ポリに絞り込んだとは言え、
61鍵4オペレーター8アルゴリズム2系統で、13万8千円しかしなかったのですね。
2系統ですよ、DX7では不可能だったスプリットもデュアルも出来たのです。
私はよっぽどこれを買おうかと思いました。
でもローランドのαJuno-2がまた良かったんだ(笑)!
さらに DX27 と DX100 は、DX21 の音源を1系統のみにして、価格を抑えたモデル
です。お値段は、きゅっきゅっぱ、と、ろっきゅっぱ、でしたね。DX100 は、
ついにミニ鍵49鍵で電池駆動も可能、ショルダー・シンセにもなりました。私は
これを持っていますが、さすがヤマハ、おもちゃ作らせたらピカイチですな(笑)。
ミニでもDXの音がするのは感動です。
黎明期のコンピューター・ミュージックで多用された FB-01 という音源モジュールは、
DX100をハーフラックにおさめたもの。DX27Sというのもあり、これはスピーカー
を搭載した機種。また小学校の音楽授業用に
SDX27 というのもありますが、これはDX27S です。
あとから出てきたDX5 は、DX1 を安価にした機種で、16音ポリ2系統のFM音源、
76鍵、50万円少々でしたか。プロ仕様でかっこよかったです。そのほとんどが
DX7II に受け継がれたような印象を受けました。けっこう私は、あれに一番憧れて
いたものです。DX5 と SuperJX を重ねるのが、高校時代の夢でした。
やがてDX7IIと同時に、TX81Zという1Uの音源モジュールが出ますが、これは4オペ
8アルゴリズムであるものの、オペレーター波形にサイン波以外の計8種類の波形が
使用可能で、6オペの機種に負けず複雑な音が作れました。V2は、これの鍵盤版の
ようなものです。海外では、DX11という型番で発売されました。ついにタッチセンス
対応、マルチティンバーにもなって再び私はこれを買おうか迷いました。しかし
既に D-50 が発売されて日がたっていたこともあり、買わずじまいです。なんとなく、
今またほしいですなー(笑)。
PCMに押される中、最後のヒットがワークステーション V50。これこそほしい(笑)!
V2にシーケンサー、フロッピードライヴ、そしてシーケンサーとは独立したリズム
マシンを搭載させたモデルで、これは良くできている。後にSY55(77ではない)が
出ますが、あんなのより、よっぽどV50の方がデキが良いです。しかしついにPCMに、
そして主にコルグM1に始まる一連のPCMワークステーションの流行にのまれ、
SY series にとって代わられます。
まぼろしの V80FD という機種も有ります。V50の後に企画された機種で、試作機の
写真のみ見た事が有ります。しかし待てど暮らせどついに出ず、SY が代わりに出てきました。
最後に DX7 の最初の機種名は、CS-150 だったという説も有ります。CS-80マニアには
驚きの説ですね。