聖徳太子
加藤文三氏は、伝聖徳太子像について次のように書いている。
![]() 一、偉人といえばかならず聖徳太子がでてくる。そして、聖徳太子ほど安定した偉人は他に例がない。偉人には伝説がつきものだが、聖徳太子も伝説のベールをはがしていくと、どんな人物像があらわれてくるのだろう。本時は、聖徳太子について、自分で真実をさぐっていく態度を身につけさせたい。 聖徳太子が何よりも身近にあるのは、一万円札にえがかれた肖像によってである。加藤は、一万円札を生徒にみせて、「これが誰だか知っていたら、あげるよ」といって授業をはじめる。この人物が着ている服装は、天武朝に定められたものだから、以前から七世紀末か八世紀初の人物像であるとされてきた。同じ時期の高松塚古墳の壁画から、左頁図のように一万円札のと「ウリ二つ」の人物が発見された。一万円札の絵は、「唐木御影」と伝えられてきたとおり、唐からきた人物画を手本に、一つは高松塚の壁画をかき、一つは一万円札のもとになった人物画をかいたのだろう。一万円札は聖徳太子ではないから、無事に加藤のポケットにもどる。(『100時間の日本史』加藤文三、本多公栄、吉村徳蔵著、地歴社刊) |
たしかにうり二つと言えば、そうだが……。結論にはすぐにはうなづけないような気がする。
『人物で学ぶ歴史の授業(上)』市川真一編著、日本書籍刊には、山内英正氏が聖徳太子を書いていて、参考になる。
上の写真は、『高松塚壁画館解説』に掲載されている。