映画「スパルタカス」のどこを見せるか
(1) スパルタクス(カーク・ダグラス)のいる剣闘士奴隷の養成所にロ−マからクラッスス(ローレソス・オリビエ)が 女たちを連れてやってきた。女たちは剣闘士の試合が見たいと言い出し、スパルタクスもやむをえず見せ物として仲間を相手に生死をかけた勝負をしなけれはならなくなる。壮絶な闘いの結果、スパルタクスは敗れるが、相手はスパルタクスを殺さず、逆にクラッススに立ち向かっていき、警備兵に殺されてしまう。主人に逆らったその奴隷の死体は、所内にさかさづりにされて奴隷たちへの見せしめとされた。
(2) その翌朝、スパルタクスが心ひかれる奴隷のバリニア(ジーン・シモンズ)がローマに売られていく。それを見たスパルタクスは、彼の心をふみにじる奴隷監督官に思わず組みついていく。同時に、仲間の奴隷たちも今ま での憤まんを一気に爆発させ、一斉に立ち上がっていった。こうしていわゆるスパルタクスの蜂起は始まり、養成所の奴隷たちは大挙して脱走していった。
(3) ローマの元老院では、大土地所有者でもある貴族たちが、奴隷の反乱の拡大を早く何とかしろと訴えている。ロ−マの警備隊を鎮圧軍として送ることが決定される。
(4) スパルタクス率いる奴隷軍は各地でローマ軍を破り、数をふくらませながら意気揚々と行軍を続ける。
奴隷軍は海岸にたどりつき、野営をする。ここから先は海賊の手引きにより、シチリア島に船で渡り、ローマの支配から逃れ、自由を手に入れるはずになっていた。ところが、海賊たちの船はなかった。
クラッススの買収により、海賊たちは奴隷軍を裏切ったのであった。
(5) スパルタクス率いる女、子ども、年寄りをまじえた奴隷軍とクラッスス率いるローマ軍との一大決戦。結局奴隷軍は敗れてしまう。クラッススは、るいるいたる奴隷の死体の中をスバルタクスがいない か捜し回るが、わからない。彼ほ生き残った奴隷たちに、「生死にかかわらず、誰がスパルタクスかを示せば命を助けてやるが、さもなくは全員処刑だ」と宣言する。スバルタクスが立ち上がろうとした矢先、彼の周囲にいた奴隷たちが我先にと立ち上がって叫ぶ。!'m
Spartacus !
(6) ローマに続く街道にえんえんと立ち並ぶ奴隷のはりつけ。その一つにスバルタクスもいた。クラッススにスバルタクスとは知られぬままに。そこへ戦闘中生き別れになっていたスパルタクスの妻。ハリニアが、生まれたばかりの赤ん坊とともに通りかかる。彼女と赤ん坊は、いきさつがあって自由の身となっていた。彼女はスパルタクスの子を高々とかかげ、彼に示しながらくり返す?e
is free! He is free! ……
家長知史著『映画でまなぶ世界史』(地歴社)より
京都の家長さんは上のように40分視聴させると言っておられるが、通常中学校ではそんな長時間の視聴は不可能である。
私も偶然家長さんと同じ場面を編集した。私は(1)と(2)そして(4)を編集したが、それでも20分をこえるので、授業では(4)の途中でビデオを止めた。しかし、反乱の時代背景を読みとらせるためには、(3)の場面が必要かとも思う。
ビデオを見ている生徒からは奴隷たちの蜂起に歓声が上がる。特にカーク・ダグラスの大活躍に。
奴隷蜂起のイメージ化をすればいいと、中学校では考えるので、(4)の途中でビデオを止めると生徒からは「もっと見せてー」との声がどのクラスでも挙がる。「では岩本先生が1泊2日300円で貸してあげよう!」というと、生徒たちは「高い!!」と。
ただ、映画を見せるときは、映画が歴史の一つのイメージに過ぎないことを生徒に一言言ってから視聴させるが、やはり強いイメージが残りすぎてはいないかと危惧する。
なお、ビデオはNHKBS2で放映されたものを録画した。