〔<日露戦争>と<征露丸>の話〕 日清戦争のあと,日本の政府が最初に宣戦を布告した国はロシア,いまのソ連で,それは,1904(明治37)年のことです。ですから,日清戦争から数えてちょうど10年後ということになります。その戦争のことは,ふつう「日霧戦争」といいます。当時「露西亜」と書いて「ロシア」と読ませるのがふつうで,「露」と書けば「ロシア」のことをさしていたからです。 この戦争のことを,「三十七八年の戦役」ということもあります。この戦争は,明治37〜38年にあったからです。日清戦争は「明治27〜28年の戦役」ですが,今度は「明治37〜38年の戦役」です。これを西暦に直すと,1894〜95年と1904〜1905年ということになります。これは,ちょっと注意すると覚えやすい年です。 どちらの戦争も,1900年の前後の「4,シ」つまり,「死の年」に起きているからです。 ところで,この戦争のときも,「征露戦争」という呼び名がありました。あなたは,「正露丸」という胃腸薬の名を知っていますか。<クレオソートを含有し ![]() それでは,その薬はどうして「正露丸」と名付けられたか,分かりますか。 そうです。その薬を作りだした人々は,それに「征露丸」と名付けたのです。その薬は評判がよかったので,日露戦争後も「征露丸」の名で売られました。しかし,今では,<「征露」ではまずい> というので,「正露丸」と改名したというわけです。いまでも「ラッパのマークの<正露丸>」と宣伝されていますが,そのラッパのマークも,もともとは<病気に対する進撃ラッパ〉ではなく,ロシアに対する進撃ラッパのつもりだったのです。 ミニ授業書『日本の戦争の歴史』板倉聖宣,重弘忠晴著 仮説社刊より |
だが、「露西亜を征する丸薬」である「征露丸」が今も存在する(写真)。
胃腸薬 元祖 「征露丸」 日本医薬品製造株式会社 奈良県御所市古瀬18番地 と書かれている。ちなみに1800円である。
まだ封も切っていないのに、ものすごい臭いがする。ビニル袋に入れていても臭ってくる。確かに効き目はありそうです。ただし商標はラッパのマークではなく、軍医らしき人物である。ラベルには故陸軍医総監 従二位勲一等男爵 松本順先生とあるのでその人なのでしょう。