王朝OL情報
紫 式 部 (紫式部日記)
清 少 納 言 (枕 草 子)
紫式部の宮廷勤務は、寛弘二年(一〇〇五)十二月に始まる。既に『源氏物語』の一部分は書かれ、宮廷人に読まれていた。「時の人」にしては、勤務姿には華やかなところが全くなかった。常に物陰に隠れ、人の後ろに小さくなっている。宴会の時でさえも、その存在に気付く人は少ない。同僚の紫式部評は、非社交的で、おしとやかで、控え目で、口数も少ない生真面目な女、ということである。職場で目立たない平均的OLというところだ。
しかし、その内気でおとなしい彼女が、日記で吐く同僚評の激しいこと。
和泉式部には、感心できない面がある。口から出任せに詠んだ歌には、良いものもあるが、
歌については無知に近い。本当の歌人ではない。
清少納言は、利口ぶって威張り散らしている女。人よりも一段上にいようとして、センスの良さをみせびらかそうとする。こんな軽薄な女の末路は良いはずがないよ。
(『古典でたどる日本サラリーマン事情』山口 博著、PHP発行より)