◆ビッグマック基準購買力平価

 次の表は、エコノミスト誌で紹介されている。ビッグマックを基準とした購買力平価を表したものである。「現地通貨建て」の欄は、基準日にその国でいくらだったかを調べたもので、アメリカで2.43ドルのものが日本では294円で売られている事を示す。すなわちアメリカドルの日本円に対する「ビッグマック基準購買力平価」は「294円÷243円=約121円」となり、1ドルは121円という水準が妥当だと導ける。さて、2000年10月5日午後5時ニューヨーク市場の「実際のレート」は1ドル=約109円だから、ビッグマック平価との評価の差は「121÷109=1.130」で、「過大・過小」をパーセンテージで表せば、+13の過大評価である。95年6月には、1ドル=79.75円という史上最高の円高となり、ビックマックによる購買力平価(ビックマックを仮に2.43ドルとした)との乖離は約1.52、OECDが示した購買力平価では、1.80に近くにまでなっていた。

 日本の賃金は、世界1だといわれたが、それは円高の為替レートで換算した結果であって、賃金でどれだけのものが買えるかをみる購買力平価換算だと、日本の賃金はアメリカの70%、ドイツの60%にすぎないといわれている。

 財界は、90年代、為替レートと購買力平価の大きな乖離による高コスト構造を、為替レートに見合う賃金に切り下げることで是正しようとするのだが、結果的に国民全体の所得の減少と消費の減退をまねき、今日の深刻な不況もたらすことになってしまった。