明石城武家屋敷跡

3.(1)食生活
 屋敷内からは、多量の食器類が出土しています。大部分が焼き物で、その種類として磁器、陶器、土器があります。碗、皿等の飲食具には磁器を多く用い、すり鉢、土鍋等の調理具には陶器を用いる等、それぞれ用途に応じて使い分けがなされていたことがわかります。
 屋敷跡からは焼塩壷とよばれる円筒状をした土器がしばしば出土します。この土器は中に粗塩(あらじお)を詰めて焼き、精製した焼塩をつくるための壷です。これまでの出土例を見ると公家屋敷や武家屋敷、寺社等から多く出土しています。体部に「泉州麻生(せんしゅうあそう)」や「難波浄因(なにわじょういん)」等、生産地を示す刻印の施されたものも認められています。
 また、貝類や動物の骨等も残されており、当時の食生活の一部を復元することができます。貝では、ハマグリ、アカニシ、サザエ、カキ等があり、動物の骨ではウシ、シカ、イヌ等が見つかっています。その他、鳥類、魚類の骨やスッポンの甲羅等が出土しています。特に、イヌの骨には解体痕が認められるものもあり、当時は食用となっていたと考えられています。(’96特別企画 1996.11 『発掘された明石の歴史展 明石城武家屋敷跡』明石市立文化博物館 より)