2000・8・8

総合学習プランづくり(仮)

岩本賢治

教育目標 「生きる力を育てる」

T 食と農を考える……第1学年

【目標】

    いのちを支えている食物がどこでどのように作られているのか、生徒に実感がない。人間が生きることの根幹である食と農を体験的に学習し、いのちと環境の共生を考えさせる

【課題】

a.いのちあるものを育てる経験から自然やいのちの大切さを学ぶ

b.科学的なものの見方や問題解決能力を育てる

c.人間の労働の価値やいのちの尊さを学ぶ


U 水と環境を考える……第2学年

【目標】

    いのちを支えている水がどこでどのように作られているのか、生徒に実感がない。人間が生きることの根幹である水を体験的に学習し、いのちと環境の共生を考えさせる

【課題】

a.水をつうじて人間と環境のかかわりを見つめ直す

b.科学的なものの見方や問題解決能力を育てる

c.いのちをはぐくむために人間がいましなければならないことは何かを考える

V 働くことの意味を考える……第3学年

【目標】

    働くということはどういうことか、働くことで社会が成り立っていること、その中で様々な問題が生じていることを学習させる。

【課題】

  a.自分を見つめ、自己を確立させる

  b.勉強することの意味や目的を自覚させる

  c.人間にとっての労働の役割や、職業につくことの意味を理解させる

  d.未来への展望を開き、現代に生きる自分の課題を追求させる


〔第1学年〕

学習テーマ

学習課題

体験・作業内容


@

土は生きている

土の中の生き物調べる

・土の呼吸を見てみよう。土だって呼吸している。

・それは土の中に生き物が存在している証拠なのだ。(『現代農業』1997年8月増刊号)

A

生ゴミ肥料を作ろう

調理ゴミと残飯でコンポスト肥料を作る

・新聞紙で水を切り、生ゴミと同量の土かパートナー(発酵促進剤)を入れる。

・毎日入れ続けていっぱいになったら移植ゴテで表面をかきまわして切り返す。

・1ヶ月そのままにしておくと完成する。(『現代農業』1997年8月増刊号)

B

大豆を育てよう

種から発芽、生育、開花、結実までの成長の過程を観察する

・教室で豆から芽を出し、苗を育てる。

・苗を畑に植え替える。(『食農教育』bQ,1998年秋号)

C

学校農園を鳥獣害から守る

ハトやスズメの害から農園を守る

・黒いポリ袋、買い物袋、藤カズラや木でつくる(『現代農業』1997年8月増刊号)

D

微生物の力を借りて発酵食品をつくる

パンやサイダーをつくろう

・完熟くだものの酵母でパンをふくらませる

・松葉の香りが刺激的な「松葉サイダー」をつくる(『現代農業』1997年8月増刊号)

E

身近な納豆菌を生かす

簡単な納豆づくり

・大豆を水につけ3倍ぐらいにふやかせる。

・5時間ぐらい煮る。

・煮豆が熱い内に接種する。市販の納豆を混ぜる。

・20時間保温の上、発酵させる。(『現代農業』1997年8月増刊号)

F

豆腐はどうして固まるか

よく食べる加工食品はどうやってつくるか?

・安全・短時間に誰でもできる豆腐の生絞り法(『食農教育』bQ,1998年秋号)

・海水や山菜のアクで豆腐を固めよう(『現代農業』1997年8月増刊号)

G

ペットボトルで植木鉢をつくろう

植物を育てる私だけの器づくり

・いろんな色や絵を描いてみよう(サクラ ピグマックスをつかって)。

・栽培意欲を高める。(『食農教育』bX,2000年夏号)

H

ペットボトル植木鉢でいちごを育てよう。

いらないペットボトルを再利用しよう

身近なところで栽培、観察をしよう

・土を用意する。

・苗を植えつける

・水やりをする。

・追肥を与える。

・病虫害を防ぐ。

(『食農教育』bQ,1998年秋号)

I

ペットボトル植木鉢でハーブを育てよう。

いらないペットボトルを再利用しよう

身近なところで栽培、観察をしよう

・さし穂を用意する

・葉の大きいものは1/3くらいに切ってからさす。

・1ヶ月後、排水溝に指を入れて根を押し上げてみて、茎に土がついてくれば根がのびている。

・ペットボトル鉢に植えかえる。

[参考文献]農山村文化協会発行の書籍類が参考になる


〔第2学年〕

学習テーマ

学習課題

体験・作業内容

@

水を調べてみよう(T)

水を調べる方法は3つある

・私たちの五感で調べる

・動物や植物で調べる

・分析器具を使って調べる

A

水を調べてみよう(U)

やさしい水の調べ方

・調べる項目

・水をとるための道具

・温度を測る道具

・水のにごりぐあいをはかる道具

・記録用紙をつくる

・パックテストを用意する

・服装や持っていくもの

B

水辺へレッツゴー(T)

まず仲間をつくりましょう

・調査する川を決める

・調査計画を立てる

   調査項目

   行動の単位

   記録用紙の内容決定

C

水辺へレッツゴー(U)

目的地に着いたら

・川のまわりを観察する

・水を採る

D

初級コースをやってみよう

水や川のようすを調査表に書く

・水の色を調べる

・においを調べる

・気づいたことを自由に記入する

E

初級コースをやってみよう(U)

水温を測る

透視度をはかる

・水温が低いと測定値が低い可能性がある。

・温度計を水中に入れたまま直角に目盛りを読む。

・透視度と透明度はどうちがうか

・透視度計の使い方

・ペットボトルで透視度計をつくる

F

初級コースをやってみよう(V)

pHをはかる

CCDをはかる

・水のpHってなあに

・パックテストで酸性雨をはかる

・川の水のpHをはかる

・パックテストでCCDをはかる

・CCDの汚れのめやすを知る

G

初級コースをやってみよう(W)

水の中のチッ素化合物をはかる

・水の中のチッ素をはかる

・亜硝酸チッ素をはかる

・亜硝酸チッ素と水の汚れのめやすを知る

H

手作り石鹸をつくってみよう

合成洗剤と石鹸の違いを知ろう

・材料(廃油・カセイソーダなど)や用具を集める

・廃油、カセイソーダ、熱湯をまぜてよくかきまわす

・熱湯を入れて、かくはんする作業をくりかえす

・15日から30日ねかしてできあがり

[参考文献]『だれでもできるやさしい水のしらべかた』河辺昌子著、合同出版刊

      『イラスト版 手作り石けんのすべて』河辺昌子著、合同出版刊


〔第3学年〕


学習テーマ

学習課題

体験・作業内容


@

「自分史」を書く

自分自身の確かな成長史を綴ろう

・生まれたときから現在までのことを年ごとに学年ごとに取り上げて書く。 ・自分の成長にとって重要な時期、事柄をいくつか取り上げて書く。 ・自分の性格を中心に書く。

・自分とまわりの人(親や友人)との関わりを中心に書く。

A

子どもが綴る親の歴史

父母の生きてきた歴史

・生まれてから今日までの年表を作る ・取材(インタビュー)をする ・資料があれば見せていただく。 ・文章化し、本人に見てもらう。 ・整理して清書する。

B

親と自分の関係を見直す

親の中学生時代から

・中学生時代の中で印象に残っていることはどんなことですか? ・中学3年生を卒業した時、どのような進路を選びましたか?その理由は。 ・今日までに、自分の生き方に一番深く影響を受けたのは、どんなことですか? ・現代を生き、仕事をしている中で、自分たちの受けたどのような教育が最も力になったと考えますか?  ア 教科で得たもの   イ 教科外で得たもの ・私(子ども)が一人前に育っていくことについて、その将来にどんな願いを持っていますか?

C

身近に働く人々を訪ねて(1)

おとなから見た中学生を語る

・あなたの中学校時代で思い出に残っていることを話してください。 ・中学校、高校時代に進路や行き方について、どのように考えていましたか? ・今の仕事に就くまでにどんな勉強や苦労をされましたか? ・さしつかえなかったら、今の仕事について、くわしく話してください。 ・今の中学生に言っておきたいことはなんですか?

D

身近に働く人々を訪ねて(2)

みんなの作文を読みあおう

・班ごとに輪読する ・各班から代表を選ぶ。 ・作文内容と同時に発表力のあることも基準にさせる

E

身近に働く人々を訪ねて(3)

おとなから見た中学生を語る

・各班の代表と質疑、討論 ・働いている人たちのどんな点が「えらいな」と思うか ・これからの「中学生活」でどんなことを大切にしていったらいいか。

F

身近な働く人々から学ぶ

「生き方」をからめて「働く」意味を考える

・現在(または過去)の職業についたのはいつからか? ・現在(または過去)の職業についたのはどのような仕事か? ・現在(または過去)の職業についたのはどのような理由からか? ・現在(または過去)の職業についたのはどのような目的を持ってか? ・仕事をする中で楽しい事、うれしいことはどんな時か? ・仕事をする中で苦しいこと、いやなことはどんな時か? ・今、現在の仕事の中で生きがいを感じるときはどんな時か? ・生活全体の中で、喜びや生きがいを感じるときはどんな時か? ・あなたは、どのような仕事をしたいと思いますか?また、それはどうしてですか? ・その仕事につくためには、どのような学歴や資格が必要ですか。 ・そのためにどんな努力をしていますか?しようとおもっていますか?

G

地域の人々から学ぶ

地域の人々の人生から学ぶ

・話の内容をまとめる

・感想でわかったことや自分の考えなどをまとめる

[参考文献]『中学校進度指導のポイント』全国進路指導研究会編、民衆社刊