はあぁ!?
という呆れ果てた声を、イルカは目の前で何度も見ることになった。
それでも、諦めきれずに、愕然とした様子のカカシをじっと見上げる。
一度気づいてしまえば、どうやって今まで過ごしてきたかを忘れるほどに、イルカは感情に振り回された。しかもそれが態度に出た。忍び失格だと重々承知だ。それでもカカシの姿を見ればこそこそ隠れたり、逃げるように家に帰るようになったり、そのくせ様子を伺ったり、顔を赤くしたり―――我ながら分かりやすいと思う。
それだから、受付の同僚たちに知れたのもすぐだった。
驚くべきことに、今のところ、誰にも嘲笑されていない。むしろ、面白がられている。てっきり、この身の程知らずが、と馬鹿にされるとばかり思っていたので、イルカの態度を「はたけ上忍がお気の毒でしょ」とからかわれても、有難く感じたほどだ。
一方で、こんなのは少しの間だと自分で思っていた。
カカシには相手がいる。
それは綺麗な女性で、自分のような見栄えの平凡な男ではない。しかもカカシに臭いだの酷い顔だの、散々いわれている。カカシの相手に成り得ることは、万に一つも、ない。
だから、この変な態度を取るのは、カカシのことを自分のなかで上手く仕舞えるようになるまでだと、思っていた。それまでのあいだ、カカシに会わなければいいのだ、と。
なのに、どうしてこんなことになっているんだろう。
カカシの服の袖口を未練たらしく掴んで、厚かましく図々しい厚顔無恥な頼みごとをするなんて。
―――…でも、いきなり、声をかけるのをやめるとか、言うから。
「…寝る、ってそれ、アンタまさか、一緒の布団に入っておやすみなさい、とかいう意味じゃ」
「違います」
長い沈黙のあと、カカシが苦し紛れ、というように言ったが、あっさりと否定する。
そんな意味なわけがない。
一緒の布団に入るだけなら、今までだって何度もしているじゃないか。
カカシはまた長いあいだ、黙っていた。
ただイルカは、同じように口を噤んで待った。袖を掴んだ指は離さなかった。きつく力をいれて、握っていた。離してしまえば、カカシが逃げてしまいそうで怖かった。
だが実際のカカシは、イルカを振り払って消える、というようなことはせず、じっと考えていたようだった。
本当なら、気色の悪いことをいうな、と怒鳴り捨てられるところだ。
切羽詰って言ってしまったことに、こんなに真剣に考えてくれている。イルカの想う相手が自分だとは気づいていないはずだ。もし気づいているなら、鳥肌をたてて罵倒してくるだろう。
むしろ、こんなに考えているのは、自分の代わりに誰か適役を紹介してくれようとしているのかもしれない。
男相手が始めてだから、と馬鹿なことを言ったイルカのせいで。
ああ、やっぱり撤回しようか。
カカシをこんなに悩ませている自分が度し難い。
そんなつもりは毛頭ないが、閨の相手は違う人にお願いすることにします、と言い繕うべきだろうか。
なまじ面倒見が良いカカシだから、どうしようもないことで悩ませてしまった。
やっぱり、これが最後だからと、欲張りすぎた。
「…すいません、無理、ですよね。あの、他の人に頼むとかもあるので、忘れてください。とんでもないことを言ってすいま―――」
「……ちょっとまって」
何て言った今、といわれた。
カカシをみると、険しい表情でイルカをみていた。
「え、ぁ、他の―――」
「男に、頼むの? アンタが? ふざけてんじゃないよ。やるよ、いいでしょう。アンタと寝ましょう」
呆気にとられた。
あれだけ黙っていたのに、やると言ったときのカカシは、まるでヤケになったような気迫だ。
本気だろうか。
ただし、とカカシは続けた。
「主導権は俺にもらいますよ。俺がやるほうだから。それで、―――いいね?」
いいねも何も、イルカに否やのあろうはずがない。
承諾してくれるだけで、気持ちが舞い上がった。
最後の思い出になる。
はい、と頷く。
何度も返事をして何度も頷いていると、話しは終わったとばかりに、いいから屋内に入るよ、と首根っこを掴まれて立たされ、引っ張られた。
風邪引くでしょうが、と言いながらイルカの手を引くカカシの体温は、暖かかった。
「で」
「はい」
引っ張りこまれて、屋上に出る扉の前。外気と人気の無さで、埃っぽいところだ。
カカシは酷く不機嫌そうで、次の休みはいつ、と訊いてきた。なぜ休みを訊かれるのかは分からなかったが、勤務表を思い出して、二日後ですと答える。すると、眉間のシワもあらわに、
「じゃあ、明日の夜、仕事が終わったら俺の家に来なさい。初めてだってんなら、別になにも用意しなくていい。泊まりの着替えぐらいはあったほうがいいかもしれないけどね。話しが急だって文句は聞かないよ―――嫌なことは早めに済ませておきたいからね」
早口で言って、カカシはふいっと顔を背けた。
イルカの胃の腑が、酷く締め付けられたように縮み、血の気も引いたが、かろうじて唇の端を吊り上げることはできた。
無理に頼んだのだ。
日付が明日であることぐらい、どうってことはない。
カカシにとって嫌なことなのも同然だ。男を趣味にするという噂もないカカシに、こんなことをお願いした自分が悪い。
触ってもらえることに浮き足立って、抱かれる側であることも、イルカにとって問題ではない。反対に、カカシが己との時間のなかで少しでも楽しんでくれるようにしなければ、とも考える。
「はい、わかりました。ご迷惑かけてすいません」
深く頭を下げた。
いいから、と吐き捨てられる。その声音にまた背筋が強張ったが、それも当然だと思うからなんとか受け止められた。本当に、この件が終わったら声をかけられることもなくなりそうだ。イルカのほうから声をかけることなど、仕事でもなければ機会はないだろうし、声を交わすどころか顔を合わすこと自体がなくなりそうだ。
悲しいことだけれど、その方がお互いのためだろうとも思う。
カカシは嫌な記憶を早く消せるだろうし、イルカも諦める猶予がもてる。いっそのこと、長期任務で里から出ようか。
「こんなことを引き受けて下さって嬉しいです、よろしくお願いします」
言ってから、妙に事務的に聞こえたことを自覚した。カカシも訝しげな顔をしたから、イルカは誤魔化すように微笑んで、仕事の終了予定時刻を告げ、別れた。
次の日は仕事にならなかったように思う。
酷く気分が浮き立って、それでいて直ぐに自棄になったように荒っぽい気持ちになった。
そんな状態が上へ下へとイルカを振り回すものだから、周囲もとんだ迷惑だったようで、事情はまったく話さなかったというのに、定刻には仕事から解放されてしまった。
まだ日が低い位置で留まっていて、明るい。
夜になったと確実にいえる時刻まで仕事をしているつもりだったのに、とんだ計算違いだ。
まさかこんな明るいのに、顔は出せない。
しばらく、未練たらしくアカデミーの資料室にも顔をだしたりもしたが、こんなときに限って余分な仕事もなく、落ち着きのないイルカは追い出されてしまった。
仕方がなく家に帰ったはいいが、夕食時にさしかかる時間になっても食欲はなく、何かを食べようという気にもならない。
手持ち無沙汰も極まって、うろうろと部屋の畳敷きを回ってから、ハッと身支度を思い出した。風呂に飛び込んで、色々と洗い立てる。垢はもちろん、汗などの臭いは全て消えるように、肌が痛くなるまでこすり、髪をすすいだ。おかげで風呂場からでたときには、乾燥した外気が肌に痛く感じたほどだった。
「…歯も磨いとくべき…だよな?」
うぬぼれと思われるだろうか。期待していて気色悪いとでも。イルカからすると、期待するどころか夢物語だ。カカシが口付けてくれるなどと夢想することは。
それでも、手ほどきとはいえ閨を共にするのだから、身奇麗にしておくべきだろう。
「多分。いや…期待して節操ねぇって思われる、か…?」
洗面台の前で、歯ブラシをもってああでもないこうでもないとウロつき、意を決して歯磨きしたときには、時刻はずいぶんと進んでいた。とうに陽も沈みきり、幼い子どもならそろそろ寝床に入る時間帯だ。仕事終わりに訪ねるにしても、遅い時刻になっていた。
さすがに腹が減っているような気がしたが、そんな空腹感は焦りの前に吹き飛んだ。
慌てて、自然乾燥のまま湿っている髪をひとつに括り、家を駆け出る。
ここ数日は寒の戻りが厳しく、家の中よりもずっと冷たい外気が頬をかすめたが、取りに戻る時間も惜しく、走れば大丈夫だろうとカカシの部屋へ向かった。
だが、息を整えつつカカシ宅の扉を叩いて、額宛も口布もないカカシが顔を見せたその途端、盛大に顔をしかめられた。一瞬、時間が遅かったからだと後悔したが、
「―――風呂上りはけっこうだけどね、いい加減、風邪引くって発想、アンタにはないわけ?」
そう渋い口調で言われ、自分の格好のせいだと分かった。
すぐに手を引かれて家の内。いつになく暖かい空気で満たされていた。
温度差にホッと肩の力が抜けた。
忍びとはいえ寒いものは寒い。ありがたいことだった。
「ベスト脱いで、そこかけといて。あと、飯、ちゃんと食べてきてんでしょうね」
「……」
体臭のことより、まさか食事について言われるとは思ってもいなかったので、イルカは誤魔化すように、曖昧な笑みを浮かべたが、それによっていっそうカカシの顔が渋くなってしまった。
そこ、とカカシが指した食卓の椅子に向かって、背を押された。
「俺も今から飯食べるから、アンタも食べなさい」
「え? いやでも」
「いいから。座って。飯っていっても、簡単なもんだから文句はいわないでよ」
文句など言おうはずもない。
手伝いも断られ、おとなしく座って待っていれば、イルカの前に、海苔のまかれた握り飯が三つと漬物、たっぷりの野菜が煮込まれた味噌汁がでてきた。
「食べてて」
その間に風呂に入ってくるから、と言い置いてカカシは奥へと行ってしまう。焦って食べていると、いつの間に風呂から上がってきたのか、カカシが背後に立っていた。
びくっとして固まると、結い髪を解かれ、ひやりとしたものが首筋にかかる前に、温風が横から吹きつけた。
「ったく、そもそもアンタには自分を労わる、ってもんがないよね。最近は特に。そういうの見ると腹が立つんだよ俺は。ちゃんと…これからはちゃんとしなさい、いいね」
「……はい」
手櫛で感じるカカシの指先は丁寧で柔らかく、イルカが食べ終わったと同時に温風が止んだときには、酷く涼しく寂しかった。
「ありがとうございます。こんなときまで、お手を煩わせて本当にすいません」
「…アンタが調子良いなら、俺はそれでいいんです。気にする必要はないって、最初から言ってるでしょ」
不機嫌に言い放ちながら、カカシは手早く自分の分の飯を握り、眉間にしわをよせたまま味噌汁をかき込んでいる。声をかけるには雰囲気が硬すぎたが、これまでの付き合いでか、それとも開き直っている現在の心境のためか分からないが、イルカは微笑みながら言うことができた。
「ご馳走様でした。美味しかったです。あと一応、口のなか綺麗にしてきます」
返事はなく、使ったいくつかの食器を洗い、洗面所へと向かう。慣れたもので、いつものところから使い捨ての歯ブラシを取り出し、口をすすいでいく。
ぼんやりと、言われる思いやり深い言葉と、冷たい態度の間を埋めるものが、どこかにないだろうかと思う。たとえば、イルカが女でもっと見目麗しければ、どうにかならないか。たとえば、カカシと同じ暗部上がりの上忍になって同僚といえる存在だ、とか。
あとカカシに尊重してもらえるような…と考えて、自分で首をかしげた。
考えれば今まで、自分が見下げられているとは思えなかった。
馬鹿だ、考えなしだと罵倒され続けてきたが、カカシの動作はいつもイルカに丁寧だったように感じている。
とはいえ、カカシの冷たい態度に、イルカの奥のほうが、いちいち同じように冷たくなるのも確かだ。
はぁ…、とブラシを口に入れたまま器用にため息をついたとき、
「ずいぶん長い間、磨いているね」
真後ろから声がかかり、驚いたイルカの気管に甘くすぅすぅする泡が入ってしまった。
当然、酷くむせて、慌てて水で口をすすいだが、なかなか咳はおさまってくれなかった。洗面台にむかって咳き込むイルカの背中に、暖かい手のひらが触れ、ゆっくりと撫ぜてくれる。
「悪かったね。驚かせて。俺も口の中、綺麗にしとこうと思ったんだけど」
咳をしながらもそれぐらいは聞こえたので、イルカは咳の衝動で苦しい身体を横にずらした。洗面台は狭いし、低い位置にある。屈んで咳き込んでいたから、顔に血が上っていたようで、こめかみの辺りが熱かった。
カカシが、そんなイルカをみて、苦笑した。
「顔が赤いね。…泣きそうな目だ」
それはそうだ。酷くむせていたのだから。
タオルが顔にかけられて、ぐいぐいと拭われた。
容赦ない拭われ方だったが、タオルの柔らかい感触が取られると、カカシが仕方なさそうに微笑っていた。心拍数が一気に上がる。
「歯は磨けた? じゃあベッドで待ってて。始める前に、ちょっとした説明もするから」
説明、が謎だったが、変に赤くなった顔と挙動不審をさとられたくはなく、そそくさと寝室へ向かう。
台所の電気はいつのまにか消されていて、寝室も暗かった。明るいのはカカシのいる洗面所ぐらいで、扉が開けたままだから、床づたいに寝室も真っ暗というわけではなかった。
跳ねている心拍を抑えるよう努めつつ、ベッドに腰掛ける。
これからすることを思えば、どんなに平静になろうとしてもなれるものではなかったが、なんとか忍びの心得を思い出して心の中で唱えてみたり、落ち着くのに効果的だという素数を数えてみたりした。
幸い、カカシは13を数えたところで、足音もなく寝室へと来てくれた。洗面所の明かりはカカシによって消されて、本格的に室内は闇の中だ。かろうじて、カーテンの引かれた窓からの里の明かりが、室内の輪郭をほのかに見せている。
カカシはすぐにベッドへと来なかった。
ベッドの傍らにある机へと歩みより、卓上にあった手元灯をつけた。
橙色の光りがパッと室内に広がった。
「これ、説明しておくね」
平坦な声のカカシが言った。
卓上には、手のひらに収まる程度の四角い小箱と、白いチューブ、それから何か液体の入ったボトルがあった。カカシはそれらを指差しながら、
「これは避妊具。知ってるだろうけど、直腸性交の場合は子どもができるとかそういうのより、性病や細菌の感染予防のひとつだね。ま、これ付けててもうつるものはうつるけど」
「お、俺、変な病気は持ってません」
咄嗟に言い訳のようにいうと、カカシは笑ったようだった。
「まあ、俺も持ってないから安心して。あと、挿入される側の負担を軽くするため、ってのもあるね。今からアンタに浣腸しろ、ってのも酷だし、そのやり方を教える気はないから、自分で勉強して」
「か…」
それは考えてなかった。いや、いっそ今からでもした方が―――。
「だから、アンタがしなくても俺がこれ、つけるから。安心して。あと、こっちのは局部麻酔成分がはいった軟膏。薬局でも色々売ってるだろうけど、これは成分の強いほうだね。それとこのボトルのは、ジェル状で人肌に暖めると水みたいになって滑りをよくしてくれる。まあ、潤滑油代わりのローションだね。あとはそうだね…アンタ、口の中怪我してない?」
「い、いえ。していません」
「そう。じゃあ口でも出来るね。怪我してるときは、特に相手が病気もってないかわかってないときは、絶対にしちゃいけないよ。いいね」
淡々とカカシは性交時の用途説明や注意を促しているが、途中からイルカの顔に血が上ってきた。
冷静な分、カカシが避妊具をつけることや、わざわざローションや軟膏を用意してくれたことが、居た堪れないことのように感じた。こんな、自分の我侭に付き合ってくれている。
カカシに対しての申し訳なさが自然と顔を下へ下げていた。
不意に明かりが消えた。
光りの落差で、真っ暗にみえる室内で、カカシが動いて空気が動く。する、と動いた影は、イルカの隣に腰掛けたようだった。ぎし、とベッドが音を立てた。
あのね、とカカシは静かに言った。
「本当にするの? アンタがこれを要るってんなら、全部あげる。本命の彼氏にやってもらいなさい。正直にいうけど、俺も男を抱くのは初めてだから、手ほどきできる自信はないよ。それなら本当に好きな相手が初めて、のほうが、…嬉しいでしょう?」
それはそうだ。
けれど、この場合、好きな相手というのは目の前のこの男だ。
酷く冷たく、思いやり深く、律儀で、鈍感なこのカカシのことだ。
「いえ…お話ししたように相手の方がいらっしゃる人ですし、もし…もし、どうにかするなら、その人の優しいところにつけこんで、関係を迫るぐらいです。きっとご迷惑でしょうけど…思い出にはなりますし、諦められるきっかけになると思って…」
ふぅ、とカカシがため息をついたことが暗闇でも分かった。
「…諦めるために、俺は協力するわけですか」
呆れ交じりの声音に、すいません、と謝った。
本当に申し訳なかった。
考えないようにしていたが、これはれっきとした、浮気だ。しかもカカシはまったく悪くない。悪いのは全て自分だ。
「あの、俺、誰にもいいませんから」
「―――は? なんのこと」
「こ、今夜のことです。絶対、誰にも」
決意をこめて言ったが、カカシの返答は、はぁ、という気の無いものだった。
「そりゃあ、アンタは黙っといたほうがいいだろうね。…まあ安心して、俺も言わないから」
「は、はい」
ふとカカシは黙り込んだ。イルカが、もしかして何か行動を起こすべきなのかもしれない、と焦りだしたころに、ぽつりと言った。
「そいつさ、きっと馬鹿だよ。こんなことまでするアンタの気持ちに気づいてないんでしょ。それで、迫られたら落ちるような奴なんでしょ。気持ちの軽い奴だね」
「そんな…ことは、ありません。気配りのできる面倒見のとても良い方です。気持ちの軽い人などでは」
「どうだか。面倒見が良いっていったって、自分に都合がいいから、って理由かもしれないじゃない」
「そんなことはありませんっ。今だって―――」
言おうとして口を咄嗟に噤んだ。
「今だって、って―――」
「いいい今も人の任務肩代わりして外にいってらっしゃいますからね…っ、本当に思いやりのある方ですよ」
「…? …まあ、いいや。それで、本当にするの?」
最終確認のようにカカシが聞いてきた。
この期に及んでも、ちゃんとカカシはイルカの意を汲もうとしてくれる。もしかするとそれは、こんなことはしたくない、という意味かもしれなかったが、選択肢がイルカにあるのなら、答えはひとつだった。
「―――はい、お願いします」
2010.09.11