金平糖の降る夜に。




 夜、イルカのあとに風呂に浸かりながら、はたと思い当たる。
 つまるところ、アンコのあれは、それなりの思いやりだったのではないだろうか。
 アンコのあの性格だ。
 面白くなりそうな事態(残念ながら自覚はある)を、規則がどうのと持ち出して止めるなど、なんとも思っていない相手なら有り得ない。
 むしろけしかける方だ。
 しかも、カカシ自身がしないことを決めているんだろうとまで言った。
 あれはやはり、アンコなりの気遣いの言葉だろう。

 ちゃぷんと肩までつかって、後頭部を風呂桶の縁にもたせかける。
 白く燻る風呂場には、先ほどイルカが使っていた微香料の石鹸の匂いがしている。
 鼻先をくすぐる香りに眠たくなった。
 暖かい布団の透間にこもる安心の匂いだ。
 油断するとうっかり寝そうになる。

「…明日はやめといて、…、…そのうち持っていってやろうかな」

 やっぱり団子三包みぐらいの相談料はあったかな、と思って、安心の香りのなかへ、呟きがふわりと漂い、すぐに消えていった。




2007.12.02