帰り道を教えてくれた人
それはいったいどういう方なんですか?
訊ねられてしばらく考えて、道を教えてくれた人だと答えた。
すると、どんな道ですかと訊かれたので、またしばらく考えて、帰り道だと答えた。
相手は何度か頷くと、なるほどと愛想よく相槌をうった。
それがきっかけだったんですね、とも言う。
肯定も否定もせず黙っていると勝手に話がすすむ。
それにしても名の高いあなたが里で道に迷っていたなんて信じられません、いや失礼しました、でも素敵な出会いですね、というから、頷いておいた。
山のなかで道にでも迷って出会ったとでも勘違いしているのかもしれない。
そんな出会いなら、まだ忘れようもあり、別れようもあるが。
だから、どうしてもその人のところへ帰らなくちゃいけないんだ。
カカシはそういって会話を終わらせた。
2007