お手洗い4本め
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女子トイレ

飛沫

男子トイレ


前回以上に汚くて下品な話を書いてある。そういう類の話が大嫌いなかた、お食事中のかたはご退出をぜひお勧めする。この注意書きを無視して読んでしまってから、「下品な話を書くな」「こんな話を読ませるなんてセクハラに近い」などというクレームを寄越さないようにお願いしたい。



日頃当たり前だと思っていることが、実はそうではないと知ったとき、あらためてその有り難さを認識する。数年前に新婚旅行で米国本土へ行くまでは知らなかった。我々日本人はまるで子供なみではないかっ! と、少しばかりの劣等感を感じざるをえない。
アメリカの公衆トイレについて、あらかじめ知っていたことといえば、個室の扉が日本のそれと違って下の方まで板がなく、便座に座ったら足元が透き透きだということぐらい。これは犯罪防止目的の仕様らしい。だが、まさか、小便器のほうに罠が仕掛けられているとは思わなかった。なんといってもあっちの人はみんな大きい。ビッグサイズ。とてもかなわない。僕なんて日本人のなかでも小さいほうだから、なおさら余計にサイズが合わない。そう、身長が違いすぎるのだ (・・・え? 勝手な想像をしないように)。背丈の差以上に脚の長さはもっと違う。ゆえに、壁に張り付いている小便器の高さが異様に高いのだ。僕にしては。
小便器の高さがどれくらい高いかというと、ほとんど水平かもしくはやや仰角に用を足さねばならないほどだ。やや俯角に用を足すことも不可能ではないが、そうすると今度は排水孔付近から跳ね返ってくる飛沫「お釣り」に怯えなければならない。勘弁願いたい。というわけで、アメリカの公衆トイレを何度か利用するうちに「ああ、ここでは自分は子供なみの体格なのだ」と悟り、一番端に1つだけ設置されている小児用小便器を愛用することにした。これならジャストフィット。どうだ、「お釣り」なんか恐くないゾ。わははのは。(・・・情けない。)

日本へ帰ってから男子用トイレに入ると、成人用小便器で充分安全に用をたすことが可能だ。何cmほどの高低差があるのかは未確認だが、その体感差異は歴然だ。ところが最近、日本国内でもアメリカンサイズの小便器を確認したのでご報告する。それは、南海高野線金剛駅下車徒歩5分のところにあるダイエー金剛店の男子トイレだ。店内すべての男子トイレがそうであるかどうかは確認していないので断定できないが、少なくとも書店・レコード売り場の奥にある男子トイレは間違いなく米国成人男性用に最適化されている。何かの設計ミスか、それとも小便器設置にかかる設計段階において基準となったダイエー社員が巨体であったためか。最近はやりの外資系ショッピングセンターの男子トイレ内にて確認された事例であれば、さほど悩むこともないのだろうが・・・。他の店舗においても同様の状況にあるかどうかは興味深いところだが、殊更にダイエーマニアでもない私としては、彼地をフィールドとする諸兄による今後の調査結果に委ねたい。

ところで、女性はいつでも専用の個室を確実にゲットできるから知らないだろうけど、混み合った男子トイレほどおぞましいものはない。なんと言ってもイヤなのは、行列。便器に群がる男どもの行列だ。高速道路の小さなパーキングエリアなどにあるトイレにて、団体客が押し寄せてきた時などに再現性のある現象だ。最近でこそ、トイレの入り口付近で順番待ちをする例が見かけられるようになったが、まだまだ少数例であろう。いままさに小用を足している男性の背後で、各小便器ごとに順番待ちの行列を形成するのは、ほんとうに勘弁願いたい。もし、密室内のそうした様子を写真撮影したならば、非常にシュールな作品が出来上がることだろう。後ろの人の「はやく代われよ」と言いたげな視線を背中に感じながら用を足すのはまさに拷問に近い。たいがいそうした場合は便意が阻害されてしまう。からだを悪くしそうだ。とはいっても、混雑時に女子トイレから溢れ出してきて、男子トイレの個室前に行列をつくっている中年女性の視線よりはマシだが・・。

くだらない話ばかりで恐縮だが、くだらないついでにもう1つ。高速道路のサービスエリアなどにある広い男子用トイレで利用者がほとんどいない時、小便器がいっぱい空いているにもかかわらず、何故に僕の隣で用を足すのだ。よそのおっちゃん。律儀に詰めずにせめて1つ分空けてほしい。それから、余計なお世話かも知れないが、小便器にくっつきすぎやで、おっちゃん。見られたくないのかも知れないが、そんなにくっついたら、便器の縁の汚れを上着やズボンで全部拭き取ってしまいまっせ。といいたい状況に良く出くわす。あまり離れると床を汚すおそれがあるので気を付けねばならないが、それにしても何故にそんなに便器と親しくできるのか不思議である。床が汚れるのに耐えかねてか、どこかのトイレで「もう一歩前へ!!」と書かれた紙が貼られていたのには驚いたが、その意を汲むあまり、他人の飛沫を着衣で掃除する必要もないだろう。

(2001年06月26日)
おがみ大五郎


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