本場のエール探訪の旅

バス・ペールエールを追ってバートン・アポン・トレントへ

 私の好きなビールの1つがバス・ペールエールです。ラベルを読むと,イギリスのバートン・アポン・トレント(Burton-upon-Trent)というところで醸造しているとあります。飲むたびに,ラベルを見るたびに,バートン・アポン・トレントに行きたいという思いが募りました。そして,行って来ました。これまでも,イギリスの田舎が好きで,湖水地方やコッツウォルズに行きました。そして私が行った頃はどちらも日本人観光客はいなかったのですが,その後あっという間に日本人観光客であふれかえるようになりました(と言っても,正確に言うと,その後は訪れていないので,あふれかえっているというのは単なる推測です)。
 そもそもこのバートン・アポン・トレントという町は,知る人ぞ知る,岩倉具視を正使とするあの岩倉使節団も訪れたところなのです。そして彼らがバスのビール醸造所を視察したことは,『米欧回覧実記(二)』(岩波文庫,p.321-7)に記されています。その件(くだり)をお読みになりたい方はここをクリックしてください

 バートンの伝統的な発酵方法がバートン・ユニオン・システムです。ユニオン・システムというのは,一般的に見られる大きな発酵槽ではなく,カスク(小型の木樽)を連結して発酵を行うユニークな方式です。それが展示されていました。昔は,酵母の働きがよく分かっていなかったことや,温度調節がうまくできなかったことから,発酵が進み過ぎて樽から麦汁が泡立って溢れ出し,止めようがなかったそうです。そこで,溢れ出た泡をパイプで導いて別の容器に流し入れ,しばらくしてからもとのカスクに戻すという方法が開発されました。それがバートン・ユニオン・システムです。(この説明は,マイケル・ジャクソンの"Michael Jackson's Beer Companion"に基づくものです。Michael Jacksonはビール評論家のMichaelです。一般の方がご存知のMichael Jacksonではありません。)


 ブルワリーに隣接するバス・ミュージアムthe Bass Museum of Brewingは,その後the Coors Visitor Centre & The Museum of Brewingと名前を変えましたが,2008年6月に閉鎖されました。しかし,地域の人たちの努力もあったらしく,the National Brewery Centreとして2010年5月に再開されたそうです。


   




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