カタクリは落葉樹林の中で育ち、常緑樹林では育ちません。 冷涼な中部地方以北には広く分布し、平地にも多いです。 近畿以西の自生地は局所的です。 氷河期終期の本州以南は冷温帯落葉広葉樹林(ブナなど) に被われ、カタクリはそうした環境に広く生育していました。 1万年前に氷河期が終わり温暖な気候になると、 西日本の多くは暖温帯の植物に被われました。 そこではカタクリは消滅しましたが、比較的冷涼な山地の 落葉広葉樹林に局部的に生き残りました。一度照葉樹林に なったあと、カタクリが移動してきたとは考えられないのです。 カタクリの種を運ぶのはアリで、アリの行動半径から推計 すると1万年に1〜5kmしか移動できないからです。 カタクリの種を運ぶムネアカオオアリ (植物の世界第1号 河野昭一監修) こうした歴史的遺産でもあるカタクリを消滅させてはなら ないと考えます。 topページ