北京旅行記
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2006年3月30日(木)〜4月2日(日)の4日間、北京を訪ねた。今回の旅行は子供二人が中学・高校へそれぞれ進学したので、家族旅行することにした。宇宙から見える唯一の建造物である「万里の長城」、日華事変(日中戦争)の発端となった「盧溝橋」や「中国人民抗日戦争紀念館」、「北京原人」の発掘地である「周口店」も一度訪ねたいと思っていたので、国内程度の時間と料金で行けて、付加価値の高いところということで、北京に決めた。
ネット(価格コム)で調べると三泊で観光付き、昼食1回と夕食が2回付いていて、王府飯店ペニンシュラホテル(5つ星)一人56,800円というツアーがあった。5万円程度なら安いと思って決めた。
1日目−3月30日(木)
3月30日(木)7:40に関空到着。パノラマツアーのデスクで往復の航空券をもらう。ANAのカウンターでチェックインし、荷物を預ける。
免税店でチップ用にセブンスターを購入(1700円)。10:00関空発のANA・NH159便に乗る。12:05北京着(時差があるので一時間早める)。北京空港の到着口を出ると、現地添乗員の賈さんが待っていた。私たちのツアーは11人で、私たち以外は年配の方が多かった。
駐車場で観光バスに乗り「天壇公園」へ向かう。観光バスに11人+添乗員1人でがらすきだった。「天壇公園」の入口へ歩いていくと、外国人観光客、中国全土から来た観光客とお土産物を売る物売りでとても混雑していた。中国人の団体客はそろいの赤か黄色のキャップ(帽子)を被っているのですぐわかる(また、同色のチョッキを着ている場合もある)。「天壇公園」は中国の皇帝が五穀豊穣を祈った場所。祈念殿は工事中だった。今回北京は、2008年のオリンピックに向けて名所旧跡・市内と至る所工事中だった。
その後、「景山公園」の中の茶芸館に行く。「景山公園」は故宮の裏の公園。私たちは東側横の通用門から入った。牡丹園があった。5月頃が見頃らしい。茶芸館では、ジャスミン茶やプーアール茶などのお茶の説明をして試飲をさせてくれる。その後、茶を売るのだがべらぼうに高い。80元ぐらいかと思っていたら300元以上する。高いのでここでは何も買わなかった。「景山公園」の外へ出ると、土産物売りがしつこく売ってくる。顔に目がなくて母親に手を引かれた物乞いの人や手のない物乞いの人などが居た。子供は、怖かったようだ。
その後、「王府飯店ペニンシュラホテル」にチェックインし、荷物を置いて、夕食に「四川飯店」へ向かう。ホテルの近くだがバスで行く。「四川飯店」は屋台街の真ん中あたりにあった。屋台では、蛇やサソリの串を売っていて気持ちが悪かった。本当に食べるのだろうか。
「四川飯店」の内部には店を訪れた有名人の写真が貼ってあった。周恩来さんやケ小平さんとともに日本の橋本龍太郎元首相の写真もあった。しかし、橋本元首相の写真は表面が少し汚れていた。ケ小平さんの写真も下の方に貼ってあったのに、汚れされていなかったので、誰かが意図的に汚したのだろう。ほぼ、1年前に反日デモがあったことを思った。四川料理は辛い。特に麻婆豆腐が有名と聞いていたが、そんなに辛くなかった。料理は美味しくなかった。
11人のツアーといっても、参加者は個々のグループの集まりだ。私たちは家族4人のグループだ。他人と同じ丸テーブルで食事するのは抵抗がある。女房は、見ず知らずの人と一緒に食事をとるのが嫌だったようだ。ツアーといっても、テーブルは、別にしてもらいたい。
バスでホテルに戻り就寝。
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天壇公園入口 |
天壇公園内部 | ||
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三輪自動車 | 景山公園の前の道路 | 景山公園入口 | 茶芸館(御苑茶芸) |
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王府飯店ペニンシュラホテル | ホテル近くの屋台街 | 蛇・サソリの串焼き | 四川飯店 |
2日目−3月31日(金)
3月31日(金)6:00起床、6:30にバイキングの朝食をとる。「王府飯店ペニンシュラホテル」は、香港系のホテルである。香港のペニンシュラは有名だが、北京のペニンシュラはもう一つ、特に食事はまずいと聞いていた。部屋はきれいで良かったが、お粥や飲茶など食事がやはりあまり美味しくなかった。結局、次の日からは、パンとベーコンとコーヒーの朝食に変える。
朝食後、コンシェルジェで明晩の「湖広会館」(京劇)の予約をする。一人280元×4=1,120元とても高い。観光タクシーも予約しようとしたら、ホテル前のタクシーと交渉しろと言う。それで、ツアーの添乗員に相談することにする。昼過ぎにガイドに、明日、「周口店」までタクシーをチャーターしたいというと、旅行社に聞いてみるという。それで、
800元、通訳付きで1,000元という。500元ぐらいと思っていたので少し高いと思ったが、不都合があればガイドにクレームをつけることができるので安心料と思って800元でお願いする。
バスで「頤和園」に向かう。「頤和園」も早朝から観光客で混雑していた。同じ帽子を被った中国の団体が多かったが、アメリカ人の年配の観光客も結構多い。昆明湖までいき、マルコポーロ橋を見てもどる。長ぼうきのような筆をもって、水で路石の上に漢詩を書いている数人のお年寄りがいた。字は簡体字でなくて普通の書体だった。書道は簡体字で書かないのだろうか。遠くに万寿山の山頂の仏香閣が見えたが、やぐらが組まれ工事中だった。「頤和園」は、西太后が気に入っていた離宮で、海軍のお金を流用して修復したことで有名だ。大きな奇岩があった。中国人は奇岩が好きだ。どこへ行っても奇岩を庭に飾っている。大きな離宮だなと思っただけで特に感激なし。
その後、「明の十三陵」に向かう。明第14代神宗万歴帝の陵墓。定陵を見学する。地下宮殿に下りる。この地下宮殿の建設には6年間の年月と800万両という大金が投入された。地下宮殿の棺床の穴に中国の人がお札を入れていた。
昼食は土産物屋の2階のレストランで飲茶料理。昨日の四川料理より口にあったが、味はもう一つ。安いツアーなので移動の度にお土産物屋に連れて行かれるのには閉口した。
昼食後、「万里の長城」(八達嶺)に向かう。途中、「居庸関の長城」を通ったがさびれていた。観光客はあまりいなかった。一方、八達嶺は賑わっており、近づくと観光バスで渋滞していた。山の麓にバスを止めて、中国人の団体が歩いている。私たちは一番頂上にバスを停めた。ガイドの話だと、普段からこの長城の責任者にお礼をしているので一番上に停めることができるという。
ほとんどの人が、右の女坂(ゆるいほうの坂)を登るが、私たちは、左側の男坂(急な方の坂)を登った。男坂の方が眺めが良い。坂の途中、至る所に土産物売りがいる。登頂記念だと行ってプレートのようなものや、偽のロレックスを売りにくる。一番上まで登っても、そこにもいる。麓に下りるが、絹のハンカチを5枚1000円とか10枚1000円、ついには、20枚1000円といって売りに来る。ナイロン製の粗悪品のようだが、ひつこくバスまで着いてくる。ガイドが、「止めたいが、止めたら商売のじゃまをしたと言って私たちも殴られる」と言っていた。万里の長城には感激したが、土産物屋の集団には辟易した。
その後、シルク工場へ連れて行かれる。また、お土産物を買えという。この工場は国営で(中国は社会主義国でほとんど国営だったはずだ)、店員はあまり商売熱心ではなかった。真綿の寝具を売る店員は熱心だったが、衣料品を売る店員は愛想が悪かった。ここでも何も買わず、北京ダックの店「全聚徳」へ行く。お店は、少し薄汚れていて、暗い感じがした。私は、鳥が苦手なので食べなかったが、料理は、今までで一番ましだった。しかし、日本の中華料理店の方が美味しい。 ここでもツアー全員で1テーブルで食事なので、家族水入らずで食事することはできなかった。食事なしのツアーで、申し込んだ方が良かったかもしれない。
食事後、ツアー客の3人がが京劇ツアーに行くので、前門建国飯店の「梨園劇場」を経由してホテルへ帰着、就寝。
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頤和園入口 | 道に水で字を書いている | 明の十三陵入口 | |
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棺床のお賽銭 |
地下宮殿後殿 |
居庸関の長城、閑散としている | |
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八達嶺、男坂 | かなり急勾配 | 女坂が遙か下に見える | 糸取り、中国の女工哀史? |
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真綿作り | 全聚徳 | 梨園劇場 |
3日目−4月1日(土)
4月1日(土)6:00起床。6:30朝食。7:30運転手とロビーで落ち合う。バンに乗って、「周口店」に向かう。途中高速道路を行き過ぎ、一つ先のインターで下りてしまう。地道を戻る。この人はあまりこの辺りを知らないようだ。何度も聞きやっと「周口店」に到着。入場券を買って入ろうとしたら、入口で止められる。中国語が分からないので、現地添乗員の賈さんに電話する。通訳をしてもらうと、もう少しすると、日本語のガイドがくるので、少し待てという。日本の団体客が予約しているらしい。
「遺跡博物館」に入って説明を受ける。発掘された石器や動物の骨が展示されている。博物館を出て、猿人洞を見学する。上洞人の穴も見学する。ここも修復中だった。発掘地といっても崖を見るだけで、博物館ももう一つだったが、北京原人の発掘地を見たということで満足した。
その後、「盧溝橋」へ向かう。ここでも運転手が迷う。車を、「中国人民抗日戦争紀念館」前に止め、入場する。入口に戦車などが展示されており、入口の切符もぎは中国人民軍の兵隊だった。ここは軍の施設なのだろう。私たち家族が日本人と分かったのかけげんな顔をしていた。「抗日」ということで、日本人の入場者は少ないのだろう。日本軍の中国侵略を写真やジオラマで再現している。子供にしゃべりかけると「シー」という。日本人と分かると襲われそうな気がしたらしい。しかし、展示は、最後のブースで、現在、日本と「平和友好条約」(1978年締結)が結ばれていること。日本の天皇や首相と中国の主席が握手したり懇談したりしている写真が展示してあり、小泉純一郎首相と胡錦涛主席が握手している写真もあった。昔は侵略国であったが、今は友好国であるという内容だった。
その後、盧溝橋へ行く。盧溝橋は、昔マルコ・ポーロ橋といわれた美しい橋。1937年日中戦争が勃発した地だ。行って戻るだけなので一人20元は高い。でも、日中戦争勃発の地に立てたということで満足する。
北京市内に戻り、運転手に料理店に連れて行ってもらう。運転手を入れて5人で昼食。「鐘楼」・「鼓楼」近くの中華料理屋。小綺麗な店だったが、「なまこの煮もの」をたのんだのが高かったのか、ビールを2本飲んで300元は高い。昼食にしては高くついた。運転手がマージンを取っていたのかも知れない。
昼食後、「鐘楼」と「鼓楼」に登る。鼓楼では太鼓の演奏のパフォーマンスを行っていた。「鼓楼」からは、北京市内が一望できる。しかし、北京市内は黄砂が舞い、町中の工事の塵と相まって春霞のようにかすんでいた。
その後、おみやげを買うために、スーパーの「イトーヨーカドー」へ向かう。「鐘楼」・「鼓楼」とは北京市内の反対側だが、道路が工事でひどく混んでいたため、1時間以上かかる。辟易する。中国のスーパーは日本と違って、市場のような活気があった。対面販売が多かったように思う。食品売り場で、お茶やお菓子、白酒などを買う。イトーヨーカドーを出ると、17時を過ぎていた。「瑠璃廠」へ回る予定だったが、直接、「湖広会館」へ行く。18時過ぎに着いた。開演まで、時間があるので売店で買いものをした。言葉が分からないので困っていると、日本女性3人のツアーの添乗員が通訳をしてくれ、夕食の店にも誘ってくれた。「湖広会館」前のすぐ右手の小綺麗な大衆食堂で、小籠包が特に美味しかった。炒め物も美味しく、ビールも飲んでたった27元だった。今回の旅行で一番美味しい食事だった。この店ならもう一度行ってみたい。
食事を終えて、「湖広会館」に入場した。孫文がここで国民党を結成したという。由緒ある、雰囲気のあるホールで、舞台の周りを2階席が取り囲んでいる。白人が1列目のテーブルに座っており、2列目以降のテーブルが日本人だった。私たちは、前から2番目のテーブだった。1番前と聞いていたので少し文句をいう。しかし、1番前は上を向かないといけないし、中央なので了解する。お茶とお茶菓子が出てきた。音声ガイドを貸しにきたり、おみやげ売りがまわってくる。ヘッドホンを2つ借りて60元だった。演目は孫悟空の話で、分かりやすく、子供達も熱心に見ていた。子供は、今回の旅行では京劇が一番良かったらしい。舞台が終わり、出演者と写真を撮れるというので並んでいると、一人100元というのでやめる。21時前「湖広会館」を出てホテルへ向かう。
今日は、タクシーをチャーターして北京郊外、市内をまわった。800元は高かったが、朝の8時前から夜の21時過ぎまで約13.5時間ということで納得する。
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周口店、入場券売り場 | 遺跡博物館入口 | 上洞人発掘現場 | |
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猿人洞、北京原人発掘地 | 中国人民抗日紀念館 | 入場券売り場周辺 | |
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盧溝橋 | 盧溝暁月 | 鼓楼から鐘楼を望む | イトーヨーカドー |
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肉の対面販売 | 湖広会館 | 湖広会館内部 | 「孫悟空大閑天宮」の一場面 |
4日目−4月2日(日)
4月2日(日)7時50分ホテルをバスで出発。「前門」で降りて、「天安門」方面に歩く。「毛沢東記念堂」の前は、早朝にも拘わらず中国中からのお上りさんの団体が、長蛇の列をなしていた。昔の日本も皇居の前にお上りさんが長蛇の列をつくっていたのだろうか?
8:30、「天安門」から「故宮博物院」に入る。「端門」、「午門」、「大和門」を抜けて「大和殿」に至る。「大和殿」は工事中で観れなかったので、横を抜けて「中和殿」・「保和殿」を見学し、「乾清門」から内廷に入る。「乾清宮」、「交泰殿」、「坤寧宮」へ。さらに、「坤寧門」から「御花園」に入る。「御花園」は宮廷の庭園で奇岩や奇木が配されている。「御景亭」という月見堂が奇岩の上に建っている。その後、「順貞門」を出ると右手に連れて行かれる。「ラストエンペラー」で、「溥儀(ジョン・ローン)」が自転車に乗っていた場所?だ。添乗員が、お茶を飲んでいきましょうというので、ギャラリーのようなところに入る。有名な書家だという人の書道を見せられて、2万円で買わないかという。故宮の補修費用の協賛もしているという。もちろん買わなかった。今回の旅行は観光付き食事付きの安いツアーだった。その代わり、土産物店にいつも連れて行かれる。「故宮」を直線に観光した。所要時間は、1時間30分だった。10:00、「神武門」を出てバスに乗り、空港に向かう。
その後、14:15、全日空NH160で、北京空港から関空に出発。18:15関西空港に到着。帰途につく。
今回の旅行を振り返ると、「万里の長城」、「周口店」、「盧溝橋」など歴史的に有名な場所を見ることができて、面白かった。しかし、下の子供は怖かったといっていた。日本では、あまり見ない物売りと物乞い。今回の旅行は、子供にはショックだったようだ。上の子供は、まあ行って良かったと行っていたが、料理が脂っこくて美味しくなかったといっていた。さらに、北京は、黄砂と2008年のオリンピックに向けた工事で埃っぽかった。工事が終わるまで行かない方が賢明だろう。女房は、ツアーといっても、見ず知らずの人と一緒に食事をとるのは嫌だったようだ。
「万里の長城」は、はるか山の稜線に長城が続く景色は、圧巻だった。一方、物売りもすごかった。「周口店」は、発掘場所が工事現場のようで、博物館はもう一つだった。観光客も少なかった。「盧溝橋」は橋を渡りもどってくるだけ。それにしては入場券が一人20元で高い。「中国人民抗日紀念館」は、入口で人民軍の兵士が、日本人が入ってきたのでびっくりしていた。「抗日」ということで、日本人はあまり来ないのだろう。しかし、展示は、最後のブースで、現在、日本と「平和友好条約」(1978年締結)が結ばれていること。日本の天皇や首相と中国の主席が握手したり懇談したりしている写真が展示してあり、小泉純一郎首相と胡錦涛主席が握手している写真もあった。昔は侵略国であったが、今は友好国であるという内容だった。「京劇」は、歌舞伎のような静的なものかなと思っていたが、雑伎団みたいなアクティブなところや、メイク・コスチュームがビジュアル的で楽しかった。
私は、今回の北京行は良かったと思っている。今度は、上海に行きたいと考えている。しかし、団体ツアーは、お土産物屋に連れて行かれるし、食事が一緒なので、フリープランのツアーを考えたい。しかし、女房や子供は、もう誘っても行ってくれるかどうか分からない。
さて、翡翠を買いに行こうといってみるか?雑伎団は面白いといってみるか?
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毛沢東記念堂 | 毛記念堂へ入場を待つ長い列 | 天安門 | 午門 |
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大和門 | 大和殿工事中 | 防火水槽、下に焚き口がある | 乾清門 |
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坤寧門 | 月見堂 | 溥儀が自転車に乗った場所 | 小泉首相と胡主席の写真、右側 |
(2006年4月吉日)
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